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後追い

Paul McCartney『McCartney 2』

いい音楽、いいアーティストに巡り合うのは、リアルタイムにこしたことはないのだろう。アーティストの創作活動や生きざまを現在進行形で享受し、ライヴという場があれば、本人のナマの姿を体感し、同じ時間や同じ空間を共有できていることに喜びを感じる。だけど既にアーティストが亡くなっていたり、バンドが解散していたりということもあるし、あるいは好みの問題や縁の薄さなどもあって、巡り合うのが遅れてしまうこともある。

しかし、後追いで聴くことは何もマイナスなことばかりではなくて、プラスに働くこともある(少なくともワタシにとっては)。例えば、のサード。ファースト、セカンドとリアルタイムで聴いてきたファンの多くは、サードの(特に後半部の)あまりにもおとなしすぎるたたずまいに、がっかりしただろうと想像する。だけど、ツェッペリンのその後の活動及びどんどん拡張されて行った音楽性を知った上でサードを聴けば、キャリアの中でも劇的な瞬間を迎えた作品として捉え、そこに感動することができるのだ。

去年の来日に際して、作品を聴いたときにもワタシは同じことを思った。80年発表の『McCartney 2』は、当時の時流に流されたかのようなテクノ風アレンジの音が多く、一般的には駄作の烙印を押されている。だけどワタシは、ポールにもこんな一面があったのかとかえって新鮮に感じるし、ポップスター/ヒットメーカーといったポールのイメージを意識しなければ、決して質の低くない作品として捉えることもできる。

去年のサマーソニックで観た、もそうだった。イジー・ストラドリンとスラッシュがいてこそガンズだと信じているファンもいるのだろうが、そのときのガンズをリアルで聴いていなかったワタシにとっては、現在のアクセル+テクニシャン揃いのガンズでも、あまり違和感なく受け入れることができたのだ。

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