トランボ ハリウッドに最も嫌われた男（2015年）

作家であり脚本家のダルトン・トランボは、アメリカ共産党員であることから、ハリウッドからマークされていた。共産主義のプロパガンダに関して証言するよう召喚されるが、質問に直接答えることを拒否。有罪判決を受け、上訴の道も絶たれ、刑務所に服役する。

出所後も「ハリウッド・ブラックリスト」の効力は強く、名前が載っているトランボは仕事ができず経済的に追い込まれていく。トランボは、『ローマの休日』の脚本を書くと友人に名義と報酬の一部を渡す。以降、B級映画の脚本を書き続け、家族にも仕事を手伝わせる。やがて、カーク・ダグラスが『スパルタカス』の脚本を、オットー・プレミンジャーが『栄光への脱出』の脚本を、トランボに執筆依頼する。

ダルトン・トランボの伝記映画で、個人的には『ジョニーは戦場へ行った』を書いた人という認識でいたが、一般的な認識では映画の脚本家のようだ。終戦直後の共産主義に少しでも関連のある人物への極端な追及は、『オッペンハイマー』でも描かれていた。劇中では、トランボが政治活動を行った描写はなかったと思う。

文章を書く才能は、突出していたのだろう。追い込まれてもひるむことはなく、とにかく書き続けた。妻クレオはそれを理解したが、多感な年頃の長女ニコラは反発。それでも、アカデミー授賞式はテレビの前に陣取って受賞を喜んだり、みんなで映画館に行ったりと、家族の絆は薄れることはない。

キャストは、トランボにブライアン・クランストン。ワタシが観た中では、『ロック・オブ・エイジズ』『アルゴ』『トータル・リコール』『アステロイド・シティ』『アーガイル』に出演していたが、主演となると本作がはじめて。したたかで頑固で、強い意志を持つトランボを演じている。クレオはダイアン・レイン、ニコルはエル・ファニング。女性コラムニスト役でヘレン・ミレンが、B級映画プロダクションの代表役でジョン・グッドマンが、脇を固めている。