ダイ・ハード(1988年)
クリスマス・イヴ。ニューヨーク市警のジョン・マクレーンは、妻ホリーに会うためロサンゼルスに到着。彼女が勤める、日系企業ナカトミ商事のビルで開催されるパーティーで再会する。そこへ突如武装集団が侵入し、ビル全体のセキュリティを掌握。約30人のパーティー出席者たちは人質になってしまい、ナカトミ社長は殺害されてしまう。
ただひとり難を逃れたマクレーンは武装集団のひとりを倒し、銃器とトランシーバーを奪う。外部に応援を求めようとするが、いたずらだと思われなかなか相手にされない。それでも、巡回中の警察官パウエルが現地に向かうことになり、マクレーンは仕留めたテロリストのひとりを窓から放り投げ、パウエルは異常事態を察知する。
数ある刑事アクション映画の中でも、筆頭格に君臨する作品だ。主人公のマクレーンは、キャラクター的には一見地味。シルベスター・スタローンやアーノルド・シュワルツネッガーが演じた役のように筋肉隆々のパワータイプでもなく、正義感を前面に出した熱い男でもない。常にボヤいているし、妻ホリーとの関係が微妙になっているのを立て直そうという気持ちはあるが、不器用でなかなかうまくいかない。つまり、人間くさいキャラなのだ。
状況としては、そもそも人数で勝り、人質もとり、と、武装集団の方がマクレーンより圧倒的に有利なはず。なのに、序盤から攻め、追い込んでいるのはマクレーンの方だ。武器の使いこなしやビル内の設備をまるで手足のように操る手際のよさ、身のこなしの軽さ、状況判断の早さと、訓練された軍人にも勝るアクティブに恐れ入る。
アクションだけでなく、中盤以降はパウエルとのトランシーバーでのコミュニケーションが見ものだ。武装集団にも聞かれているという状況から、マクレーンは自分の名を明かさず、しかしパウエルは警官であることを見抜く。互いのことも話し、パウエルは以前の操作で誤って子供を撃ってしまい、それがトラウマになって転属したことを話す(これは伏線になっていて、ラストに回収される)。
キャストは、マクレーンにブルース・ウィリス。この1作でスターダムにのしあがり、以降話題作に多数出演。その大半が、主人公としてだ。ホリーはボニー・ベデリアで、この人にとっては『推定無罪』に並ぶ代表作だろう。武装集団ボスのハンスは、アラン・リックマン。『ハリー・ポッター』シリーズのスネイプとは、10年以上の間隔があるとはいえ、風貌も体格も異なっていて一致しない。
本シリーズ化は、計5作まで公開されている。4、5作目では娘が、5作目では息子が、成長した姿で登場する。本作では、ふたりが幼い姿でちょこっと登場していて、つながりが感じられたことに嬉しくなってしまった。
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