『関心領域』を観た(ネタバレあり)
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最終更新日:2024/06/17
伝記/実話に基づく
第二次大戦時のポーランド。ナチス・ドイツがユダヤ人大量虐殺を行った、アウシュヴィッツ強制収容所の壁を隔てた邸宅に住む一家があった。広い庭やビニールハウスで花や木々を眺め、家事はお手伝いさんに一切を任せている。
彼らにとってはなんということはない日常だが、壁の向こうでは毎日のようにユダヤ人が虐殺されている。その模様は、映像として流れることはない。しかし、時折不穏・不快な音だけは聞こえてくる。邸宅の主は、アウシュヴィッツの所長ルドルフ・ヘスだった。
ドイツ映画ではなく、アメリカ、イギリス、ポーランド共同となっていた。会話は、ほとんどがドイツ語。劇中の時期は、まだドイツ軍の戦況が悪くなる前のようだ。
観る前は、てっきり、邸宅に住むヘス家の人々は、隣の存在や起こっていることをまるで知らない、知らされていないものと想定していた。しかし実際は、当然彼らは知っている。知っていながら、まるで気にすることなく日々暮らしている。つまり、「関心がない」のだ。この恐ろしさたるや。
ただし、関心はなくとも、家族に影響は受け始めている。娘は夜寝付けなくなり、長男の行動には暴力性の兆候が見られる。祖母は、家族に何も告げずに出ていってしまった。最も影響を受けていないのは、引っ越しを拒否して夫ルドルフを単身赴任させ、邸宅に執着していたヘートヴィッヒ(『落下の解剖学』のザンドラ・ヒュラー)だ。
劇中、ヒットラーやボルマンなど、実在した人物の名が飛び交う。もしやと思い、観終わった後に調べてみると、ルドルフも実在の人物で、本作のプロットは次男の手記がもとになっているとのこと。創作でなく事実に基づいていたことに、またもや驚かされる。撮影も、実際にアウシュビッツの隣で行われたという徹底ぶりだ。
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