『頭脳警察 from 全曲LIVE ~反逆の天使~』を観た
頭脳警察が手がけた曲はだいたい100曲くらいかな、というpantaの発言をきっかけに話が膨らみ、2010年9月に全曲演奏ライヴが実現。DVD4枚組、計7時間16分にも渡る映像を観た。
会場は、いずれも初台にあるThe Doorsというライヴハウス。それまでも頭脳警察やPANTAのライヴが行われ、個人的にも一度行ったことがある。ステージとフロアとの距離も近く、客にとってはアーティストの熱気をダイレクトに体感できる。
ライヴで演奏された全曲を収録したわけではなく、第三夜まではアンコールが割愛、最終第四夜のみアンコールが収録されている。そして、『世界革命戦争宣言』『さようなら世界夫人よ』など、一部の曲は諸事情により収録されていないとのこと。実際にその日その場にいた人だけが、楽しめたことになる。
その代わり、アルバム未収録曲やPANTAソロ曲の原型的な位置づけの曲がいくつか演奏され、これぞ全曲ライヴという構成になった。実際のライヴは2部構成で、アンコールはPANTAのソロ曲を中心に演奏されたそうだ。
バンドメンバーは、毎回入れ替わっている。PANTAとTOSHI以外でフル参加したのは、ギターの菊池琢己のみ。ベースはJIGENとFUKUSHIN、ドラムは松本直樹と小柳”Cherry”昌法。第二夜と第四夜には、キーボードの中山努が加わっている。JIGENは2001年から2002年のライヴで観たことがあるが、そのときは坊主に無精髭で、それがここでは髪を伸ばした好青年になっていて、同一人物とは思えなかった。
「第一夜~悪たれ小僧~」は、『ROCKATION』に始まり『UNDER COVER』で締めくくられた。つまり、ライヴの前年にリリースされたアルバム『俺たちに明日はない』からで、頭脳警察が懐古主義ではなく、現場進行形のバンドだというスタンスを知らしめている。
「第二夜~ふざけるんじゃねえよ~」は、TOSHI脱退時の『誕生』『仮面劇のヒーローを告訴しろ』からの曲が中心となり、「第三夜~嵐が待っている~」は、冒頭2曲でTOSHIがドラム、小柳”Cherry”昌法がパーカッションを担っていた。第二夜のラストが『あばよ東京』、第三夜のオープニングが『腐った卵』と、75年の解散と90年の再結成を再現しているようなシーケンスだった。
そして「第四夜~銃をとれ!~」は、頭脳警察のパブリックイメージに応えるかのような徹底したラウドデイになり、『銃をとれ!』ではじまった。『赤軍兵士の詩』は14分にも及ぶ大作として演奏されたそうだが、収録されず残念。前述の通りこの回のみアンコールが収録されていて、それは計3回に渡り、オーラスの『銃をとれ(Part2)』では、松本がカウベルで加わっていた。
全曲演奏ライヴは、ほかのアーティストで何度か観たことはある。がしかし、四夜に渡り100曲以上となると、文字通り前代未聞空前絶後だ。それを成し遂げた充実感からか、ブックレットにはPANTAとTOSHIの喜びのコメントが記されている。
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