マネスキン(Måneskin)@有明アリーナ
サマソニ2022での来日から、1年3ヶ月あまり。この間に、彼らを取り巻く状況は激変した。そして、彼ら自身も大きく飛躍しての単独来日だ。この日の公演はWOWOWで生中継されることとなり、場内にはカメラが設置されていた。
開演予定から15分ほど経ったところで、客電が消えた。ステージは真紅の幕に覆われていて、演奏がスタート。イントロを引っ張りに引っ張った後でやっと幕が落ち、4人の姿が明らかになった。そして、『Don't Wanna Sleep』『Gossip』『ZittiE Buoni』『Honey (Are U Coming?)』『Supermodel』と、序盤からアッパーなナンバーを惜しげもなく叩き込んできた。
ステージセットは、イーサンが陣取るドラムセットがひな壇になっていて、両サイドにゆるいスロープが伸びている。上部には数10個のライトがダイヤモンド状の台にセットされていて、それらは天井からバックドロップにかけて設置されていた。意外にシンプル。しかしライティングはかなりド派手で、曲によっては閃光がかなり激しく、ステージを直視するのがきつい瞬間があった。
今年になり坊主にしていたダミアーノは、髪を伸ばしはじめていた。フレームの大きなサングラスをかけ、ゴールドのラメが入ったロンTに革パン姿。70年代のルー・リードを、彷彿とさせる。トーマスは序盤はジャケットを着ていたが、途中から脱いでノースリーヴ姿に。イーサンはドラムセットの奥におさまっていてよく見えなかったが、上半身裸だったと思う。
ヴィクトリアは、ベージュの変形トップスでお腹と背中があいていて、そして黒のロングスカートといういでたち。この衣装でベースを弾くシルエットが、たまらなくカッコいい。去年のサマソニでは小悪魔のイメージだったが、ここでは大人っぽく見える。
そのヴィクトリア、『Beggin'』でついにステージを降り、向かって左のアリーナエリアに突入。ブロック間の通路を歩き、ときどきは足を止め、もちろんこの間もベースを弾き続けていて、ヴィジュアルだけでなくプレーヤーとしての技量も凄まじいものがある。
アルバムを聴く限りでは、4人の技量が対等に絡み合っているように聴こえる。がしかし、ライヴの場ではトーマスのギターが冴えに冴えていて、この人の躍進ぶりが伺える。イントロはイーサンのリフで始まることが多いが、トーマスとのコンビネーションも多く、ふたりはまるでジョン・ボーナムとジミー・ペイジのコンビのようだ(とは言い過ぎだろうか)。
『Gasoline』を経て、場内が暗転。この後アコースティックセットになるのだが、アリーナ後方からヴィクトリアを除く3人が登場し、PAセット後方のサブステージへ。場内がざわつく。ワタシの席は、3階席Gブロック2列目で、これはステージを正面に観る、そしてPAセットを後方の真上から観るポジションだった。
トーマスとイーサンがセミアコを弾き、ダミアーノが『Trastevere』を歌い上げる。この後イーサンが捌けていき、ふたりによる『Timezone』。彼らを背中越しに観る格好にはなったが、臨場感を噛み締めることができた。ダミアーノは歌に入る前にこちらを振り返ってくれたし、歌い終わると日本語で「アリガトウゴザイマス」と言ってくれた。
直後に、ヴィクトリアとイーサンのリズム隊によるインストとなり、やがてトーマスとダミアーノも生還して『I Wanna Be Your Slave』へ。サマソニでもやった、オーディエンスをしゃがませた後、ダミアーノの合図で一斉にジャンプ!本編ラストとなった『Kool Kids』では、「クール・キッズ」たるオーディエンス20人くらいがステージに上がり、はしゃぎ、踊っていた。
アンコール、スローな『The Loneliest』のときにダミアーノがステージ両サイドまでゆっくり足を運び、その後正面に立ち、深々と頭を下げた。そしてオーラスは、2度目の『I Wanna Be Your Slave』。ワタシたちは再び身をかがめ、そしてジャンプした。
若くてイキのいいバンドのライヴを観るのは、いつでも気持ちのいいものだ。マネスキンの4人は22歳から24歳とまさにZ世代で、そしてまだまだピークには達していない。彼らはまだまだ成長し、進化するはずだ。現時点ではテレビ出演やイベントなどに気さくに対応してくれているが、数年後にはそれが物凄く貴重だと思えるようになるはずだ。
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