マジンガーZ（アニメ版）

ドクター・ヘルは機械獣軍団を使って世界征服を目論むが、その野望を知った兜十蔵博士は秘密裏に巨大ロボットのマジンガーZを建造。自身はあしゅら男爵に殺害されるが、孫の甲児に後を託す。甲児はマジンガーZに乗り込み、機械獣軍団を迎え撃つ。

永井豪原作で、アニメとマンガがほぼ同時進行。もともとアニメ版の比重が高かったとのことで、日曜ゴールデンタイムに約2年に渡って全92話で放送された。高視聴率を記録し、超合金ロボやジャンボマシンダーなどの玩具も売れに売れた。現在、MXTVでリマスター版が放送中。個人的にリアルタイムで観てはいたが、さすがに覚えていないことの方が多く、新鮮だ。

1話完結で毎回新しい機械獣が登場しては、マジンガーZに倒されるという進行形式。それまでのロボットものの『鉄腕アトム』『鉄人28号』と異なり、主人公が巨大ロボットに乗り込んで操縦するスタイルを最初にやった作品とされ、後発の多くのロボットものに継承されている。

1話完結と言いながら、当然少しずつテコ入れがされていく。当初、マジンガーZも機械獣も空を飛ぶことはできなかった。先に飛行可能になったのは機械獣の方で、対抗策としてジェットスクランダーが開発された。機械獣軍団の指揮をとるあしゅら男爵はなかなか成果をあげられず、途中からブロッケン伯爵が登場。弓さやかが乗るアフロダイAは途中で破壊されるが、後継としてダイアナンAが開発される。

ツッコミを入れたい描写も結構ある。兜甲児の自宅がバレていて、鉄仮面軍団に攻めたてられる話がある。特に防犯設備もないので、毎回自宅を襲ってしまえば、そのうち甲児を仕留められるのではと思ってしまう。また、さやかとしょっちゅうケンカする甲児は、時に男尊女卑とも思える行き過ぎた言動になることがある。今観るとものすごく気になるが、当時は違和感を感じることは少なかったのだろうか。

当時はマジンガーZのカッコよさばかりを観ていたが、現在は人間ドラマの方に注目するようになり、見えていなかったところが見えるようになった。あしゅら男爵がブロッケン伯爵が失敗することを願うのは、同門であるのに先に評価・出世されるのを羨む心情として理解できる。甲児やさやかの友人であるボス、そして彼が操縦するボスボロットは、何の役にも立っていない印象だった。がしかし、ボスがふたりに配慮したりいたわったりする描写が、幾度もあった。

主題歌を歌うのは水木一郎で、この人にとっての代表曲なだけでなく、昭和を代表するアニソンと言っていいだろう。現在も多くの人に認識され歌われ続けている、決定的な歌だ。