フランク・ザッパ(Frank Zappa):イエロー・シャーク ライヴ・イン・フランクフルト1992
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Frank Zappa
30年前の1993年12月4日に、前立腺癌のため52歳で亡くなったフランク・ザッパ。その1か月前にリリースされたアルバムが『The Yellow Shark』で、ドイツの楽団アンサンブル・モデルンが演奏したライヴになる。この映像が、以前スカパー!で放送されていた(商品化はされていないようだ)。
ライヴは、1992年9月にドイツやオーストリアで複数回開催されている。映像はフランクフルトの公演で、ザッパ本人も登場し、MCをしたりいくつかの曲で指揮棒を振ったりしている。演奏された曲は、『Uncle Meat』や『Jazz From Hell』などいくつかのアルバムから、そして新たに書かれた曲だ。
アルバムとは曲順が異なり、後半に収録されている『Food Gathering in Post-Industrial America』がここでは中盤で、この後休憩が入っている。もしかすると、この映像の方が実際の演奏順で、それを再編集したのがアルバムになるのかもしれない。
アンサンブル・モデルンは単にクラシックを演奏する集団にはとどまらず、現代的というか、フレキシブルな表現をしている。というか、ザッパがそのようにプロデュースしているのだろう。曲によっては演劇的な要素が加わっていて、管楽器隊が演奏しながらステージ前方に歩み出てきたり、ラストの『G-Spot Tornado』では男女ペアのダンサーが現れ、かなりアクロバティックな踊りをしていた。これはアルバムを聴いただけではわかるはずもなく、映像として楽しめる。
ザッパが生前に発表したアルバムは50枚以上あり、死後もリイシューや発掘音源がリリースされ続けている。個人的には、現時点で60年代から70年代前半にリリースされたアルバムのうち数枚しか聴いておらず、元祖ミクスチャーやギター弾きまくりのイメージが強かった。本作は、強いて言えば2枚組で大半がインストの『Uncle Meat』のイメージに近く、現代音楽家ザッパの一面を感じさせてくれる。
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