ドミノ(ちょこっとネタバレ)
テキサス州オースティン。娘が誘拐されて行方不明の刑事ロークは、カウンセリングを受けていた。そこへ、銀行の貸金庫が強奪されるという匿名の通報があり、現場に向かう。貸金庫にはなぜか娘のポラロイド写真があり、それを手にしたロークは犯人と対峙。犯人は接する者たちを次々に操りつつ、自らは逃走する。
匿名電話の主である占い師のダイアナを訪れたロークは、人の脳の中に入り込み意のままに操るという、犯人の男デルレーンの能力を聞かされる。政府の「機関」は同様の能力を持つ人材を管理していたが、デルレーンは逃走していた。デルレーンは同僚刑事のニックを操るなどしてロークを殺害しようとし、ダイアナとロークは逃走する。
序盤は少し奇妙な刑事モノ、それがやがてサイコスリラー的な要素に染まり、そして後半はそれまでの世界観が大きく変わってしまう。現実だと思っていたことが現実ではない虚構の世界で、ダイアナやデルレーンだけでなく、周囲の人物がみな何らかの形でロークにかかわっていたことがわかる。ローク自身の記憶も、実は作られたというものだった。
つまり後半は思いっきりSFで、劇場で観たときは結構インパクトを受けたが、振り返ってみると実は冒頭から何かおかしかった。『インセプション』にも通ずる描写も見られるが、設定自体は全く異なっている。そして、SFを好む身としてはこの展開はしてやったりで、ニヤニヤが止まらない。
キャストは、観ているときに認識できたのはロークのベン・アフレックのみだった。後で調べてみると、ダイアナはアリシー・ブラガという人で、『シティ・オブ・ゴッド』『アイ・アム・レジェンド』などに出演していた。デルレーンはウィリアム・フィクナーという人で、『アルマゲドン』『ウルトラヴァイオレット』『エリジウム』などに出演していた。
邦題は『ドミノ』となっていて、確かにドミノは終盤になって重要な要素だとわかるが、作品そのものを象徴するタイトルにはふさわしくない。ただ、これはあえてそうしていると思われる。原題の『Hypnotic』は直訳すると「催眠術的な」となり、このことば自体がある意味ネタバレになっているからだ。
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