レコードコレクターズ、坂本龍一特集号
昨年3月28日に亡くなった、坂本龍一。以降、追悼特集が各誌で組まれてきたが、月刊の音楽誌『レコードコレクターズ』では、2023年7月号・8月号の2ヶ月分に渡って特集が組まれていた。
7月号は、追悼コメントにはじまり、坂本の半生がとりまとめて記述されている。生誕から高校時代、東京芸大時代と、プロデビュー前にも言及されているのがありがたい。ロックの志向が強かったために、4年のはずの芸大大学院を3年で卒業させられたというエピソードは、なかなかユニークだ。
ディスコグラフィーは、ソロ作、ソロライヴ作、コラボレーション作を整理。ソロ作についてはふわっと流れを知っていたが、コラボ作の多さには驚かされる。特にアルヴァ・ノトことカールステン・ニコライとの共作が多く、坂本に認められた人だったのだろう。そして、この人の基点であろうピアノ作が多いのには、納得を通り越して圧倒させられる。
8月号は、サントラをはじめとするソロ以外の活動などについて。はじめて手がけたのは『戦場のメリークリスマス』になり、監督の大島渚から出演を依頼された際に音楽も手がけることを条件に出したエピソードは有名だが、『ラストエンペラー』でも当初甘粕役でのオファーが途中から音楽も依頼されたとのこと。映画音楽はいろいろ制約があるが、坂本は制約がある方がやりやすいそうだ。
なんと言っても『戦メリ』がサントラでは代表的だが、それ以外にもあるわあるわ。アニメ『オネアミスの翼』は、公開時に劇場に観に行っていたので思い出深い。『ラストエンペラー』は、アカデミーを受賞した直後くらいに新宿の劇場に観に行った。当時は指定席の概念がほとんどなく、満員の中を通路に座って観た記憶がある。
ソロ、コラボ、サントラ以外の活動としては、オペラ公演やインスタレーションなどの展示用の音楽など。「プロジェクト」として紹介されていた。ymoの活動も、こちらで取り上げられている。ほかのアーティストのプロデュースやゲスト参加はあれど、バンドやユニットとしての活動があまり見られなかったのは、少し意外だった。
7月号にも8月号にも、映像作品の紹介がなかったのが残念。
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