PANTAインストアイベント(2)
pantaもこれらの映像を観ていたようで、「体重順に並べたんじゃ」と自分でツッコミを入れつつ、アコースティックライヴスタート。まずは頭脳警察の『まるでランボー』。タワレコ地下のイベントスペースは密閉感に溢れ、ステージと客席との距離感など無いに等しい。PANTAの噛み締めるような歌、そして刻まれるギター、マツの鍵盤を叩く音、阿部美緒のバイオリン。どれもがクリアに伝わってくる。
今回リリースした新譜『波紋の上の球体』は、PANTAのソロオリジナルとしては実に12年ぶりとなる作品。毎年出る出ると言いつつ、こんなに延びてしまったと苦笑い。この作品に対する思い入れを、いろいろと話してくれた。90~91年の頭脳警察のテーマは「万物流転」で、これをテーマに描いてもらった絵をPANTAが気に入ったこと。この人(丸山叉史:CDジャケットの記載より)と組んで、彼が描いた絵にPANTAが詩をつけるということを雑誌でしたことがあること。今回のジャケットも、彼にお願いしたこと。そして作品のテーマは、このジャケットにこそあることなどだ。
演奏は、新譜から次々に披露。『瓦礫』、そして『おお詩人よ夕べが迫って』。この曲は頭脳警察結成前の10代に作ったもので、穏やかな曲調は過激な頭脳警察では演奏する機会がなく、今の年齢になってようやくそれができる時期になったと語っていた。続いては『いいつけ』、そしてタイトル曲『波紋の上の球体』。正直、この曲は6月のライヴのときはピンと来なかった。おとなしすぎてメリハリがなく、なんとなくやり過ごしてしまいそうな曲に思えたのだ。だけどCDで聴き、そして改めてナマを体感して、懐の深い、味わいに満ちた曲なのだと、徐々にその魅力が分かりかけてきたところだ。
ほんとうはここで終わりのようだったが、PANTAは気分がよかったのか、出てきたスタッフを戻し、マツと阿部美緒にはもう1曲演るぞと声をかけ、そして『虫の街』を。穏やかな曲が多い新譜にあって、この曲は『瓦礫』と並ぶハードなメロディだ。こうしてライヴは約30分に渡り、先の映像と合わせると約1時間にも渡ったイベントが終了した。
今回のソロアルバムのリリース、頭脳警察作品の紙ジャケ仕様再発と、最近急に活発になってきたPANTA?頭脳警察周辺。PANTAと石塚俊明は、この年になっても一緒にやれること自体が幸せなんだから、と2人で話したのだそうだ。今後も彼らの動きから、目が離せない。
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