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インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(ネタバレありにつき閲覧注意)

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル

第二次大戦中、インディ・ジョーンズは友人の考古学者バジルと共に、ナチスが略奪した秘宝「アンティキティラのダイヤル」を入手。時が経ち、1969年。インディは妻マリオンと協議別居し、大学の講義でも学生はまともに授業を聞いていない始末。そのまま、定年退職を迎えていた。

アメリカ国内がアポロ11号月面着陸成功に湧いている中、バジルの娘ヘレナがインディを訪ねてくる。インディは彼女の名付け親でもあったが、ヘレナはインディから「アンティキティラのダイヤル」を奪い、違法な競売にかけようとしていた。インディは競売がおこなわれるモロッコに向かうが、ナチスの残党フォラーもダイヤルを狙っていた。

前作『クリスタル・スカルの王国』から、実に15年後の公開になる。インディを演じるの年齢を思えば、続編制作は考えにくかったが、ほんとうに公開されてしまった。それまではが監督を務めていたが、本作ではともども制作総指揮にまわり、ジェームズ・マンゴールドが監督を担っている。

「アンティキティラのダイヤル」自体は、実在する秘宝らしい。劇中では古代ギリシャの時代にアルキメデスが作ったとされていて、時空を行き来できる超科学的な機器とされている。ヘレナの目的は売りさばいて金を得ることだったが、フォラーの目的は第二次大戦開戦前に飛んで後にドイツを敗北させるヒトラーを暗殺することだった。過去4作の秘宝もモーゼやキリストなどに因んでいたが、今回は終盤クライマックスでかなり大胆なことをやっている。

インディ役のハリソン・フォードは、今回もかなり動いている。アクションシーンはスタントとCGを併用していると思われるが、だとしてもすごい。アバンタイトルでの列車の上でのナチスとの攻防、市街地を馬に乗って走り地下鉄構内にまで進むシーン、モロッコでトゥクトゥクを駆ってフォラーらとカーチェイスするシーンなど、とても80歳とは思えない。

レイダース』『最後の聖戦』でインディをサポートしていたサラーが、今回も登場。また、『クリスタル・スカルの王国』でが演じていたインディの息子マットは、志願して戦場に行き戦死したことになっている(時期的にベトナム戦争になると思う)。中盤、インディの旧友の潜水士役でアントニオ・バンデラスが出演していた(エンドロールまで気づかなかった)。

ヘレナは幼少時にインディに可愛がられていたが、再会時に情を感じていたのはインディの方で、ドライな彼女は平気でインディを裏切る。『最後の聖戦』のエルザのキャラを、若干彷彿とさせる。その後はナチスとのダイヤル争奪戦の中で運命共同体になり、インディをサポート。相棒の少年テディとのコンビは、『魔宮の伝説』のウィリーとショートを彷彿とさせる。

フィービー・ウォーラー=ブリッジという人がヘレナを演じていて、これまで目立った役柄が見当たらず、本作が実質的なメインキャスト出演になる。調べると、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の脚本に名を連ねるという、異色のキャリアだ。ルックスもよく、長身で立ち回りが見映えする人なので、今後の活躍が期待できる人だ。

フォラーは月面着陸したロケットを設計した博士ということになっていて、フォン・ブラウン博士をもとにしたキャラクターのようだ。マッツ・ミケルセンが演じているが、この人は『007/カジノ・ロワイヤル』のル・シッフル、『ドクター・ストレンジ』のカエシリウス、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』のグリンデルバルドと、敵ではあるが観る側としては憎たらしくならない、愛される悪役を演じるのがうまい人だと思う。

ハリソン・フォードの年齢からして、今度こそ本作が最終作になると思う。ラストも感動的で、シリーズの幕引きに相応しかったと思う。

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