ブラー(Blur)@Zepp Divercity
公開日:
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最終更新日:2023/06/24
Blur サマソニ, デーモン・アルバーン, フジロック, ブラー
11年ぶりの来日、そして個人的には、99年フジロック以来14年半ぶりのブラー。待ちに待ったという表現が、これほどまでにふさわしい瞬間など、ほかにあるだろうか。もうすぐ観られるんだという喜びを噛み締めながら開演を待ったが、その時間も短く感じられた。
定刻を5分ほど過ぎたところで客電が落ち、メンバーがゆっくりと登場。Gジャン姿のデーモン・アルバーンがフロアを煽ったかと思うと、『Girls And Boys』のイントロがかかり、これだけで早くも場内は尋常ではない騒ぎに。演奏が始まると、その騒ぎには更にギアが入り、最早沸点に達した状態。このとき、この瞬間を、みんな待っていた!
続いては、小気味いいテンポの『There's No Other Way』から『Beetlebum』『Out Of Time』となり、熱狂は依然持続。デーモンはステージ上を右に左にと動き回り、フロア最前に詰めているオーディエンスとタッチを交わし、そしてペットボトルの水を放水しまくり。向かって右はベースのアレックス、デーモンの真後ろにはドラムのデイヴが陣取り、それぞれリズムを刻む。2人の間には、サポートのキーボードがいた。
そして、向かって左にいるのがギターのグレアム・コクソンだ。来日は2003年サマソニ以来だが、当時グレアムは脱退していて、3人ブラーだった。復帰したのは2009年だが、この間この人はソロ活動に精力的で、2度来日も果たしている。この人がデーモンらと同じステージに再び立っているという事実だけで、なんだかじぃんとしてしまうのだ。
セットリストはベストヒットに終始するのかと思いきや、なんと問題作『13』の、それも実験的な後半部の曲『Trimm Trabb』『Caramel』ときたのでびっくり。帰宅後調べたら昨年秋の南米ツアーもこのセットだったので、奇をてらったわけでもないようだ。しかし、この後『Coffee And TV』『Tender』という、『13』の中でもポップな曲へとシフトしたので、やっぱりこちらの方がブラーらしいと思ってしまう。
サポートは、キーボードのほか曲によって3人のコーラスと3人のホーンセクションが出入りしていた。『To The End』では天井のミラーボールが妖しく光り、『Country House』ではデーモンがよもやのダイブ!格好はカジュアルだし、スター然としたところもなく、見た目こそ年とったなと思いはするが、そのスタンスは若い頃とあまり変わっていないのではないだろうか。
この後『Parklife』となるのだが、まさかまさかのフィル・ダニエルズ登場。ワタシは最初本人と思わず、ローディーの人がフィルの代役をこなしていたものと思ってしまった。フィル、このためだけにブラーに帯同し日本に来てくれたのか。。。
本編は『End Of A Century』『This Is A Low』という、スケール感溢れる2曲で締めくくった。そしてアンコール、デーモンが「this song … about Japan…」と言い、『Yuko And Hiro』を。この曲はもちろん南米ツアーでは演奏されず、まさに日本オンリー(当たり前か)。続くは、デーモンがキーボードを弾きながら歌う新曲『Under The Westway』。そして・・・。
デーモンがアコギをかきならして歌い始める『For Tomorrow』だが、他のメンバーの準備がまだだったのか、いったん中止し、バツが悪そうにMCでつなぎ(笑)、そしてやり直していた。そんなことはあったが、この曲が聴けてほんとうによかった。今回初期の曲は極端に少なく、セカンド『Modern Life Is Rubbish』からはこれだけだったからだ。個人的には、ブラーをはじめて観たのがこのツアーで、まだワタシにとってのベストフェイバリットアルバムは今でもこれなので、頭の中が一瞬21年前の1993年にタイムスリップした。
この後の『The Universal』で終わっても不思議はなかったが、デイヴが刻むビートにより、場内は「あの曲」がオーラスになると理解した。イントロは引っ張りに引っ張られ、そこへグレアムが適度にカッティングを入れてきて、やがて『Song 2』のイントロへとシフトする。場内は何度となく「ウーフー」を繰り返し、そしてデーモンの歌い出しが合図になり、フロアはこの日何度めかの沸点に達した。
セットリスト
Girls And Boys
There's No Other Way
Beetlebum
Out of Time
Trimm Trabb
Caramel
Coffee And TV
Tender
To the End
Country House
Parklife(with Phil Daniels)
End of a Century
This Is a Low
Encore:
Yuko And Hiro
Under the Westway
For Tomorrow
The Universal
Song 2
音は割れまくりだったったし、演奏もパーフェクトとはいえなかった。しかしそれでも、この場にいることができた幸福感が、そうしたちっぽけな不満をあっさり上書きしてしまう。だって、ハイドパークで5万人を歌わせ踊らせた、押しも押されもしないバンドを、ライヴハウスで観られたんだから。
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