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フー・ファイターズ(Foo Fighters)『Echoes, Silence, Patience & Grace』

公開日: : 最終更新日:2023/06/10 Foo Fighters

フー・ファイターズ(Foo Fighters)『Echoes, Silence, Patience & Grace』

昨年秋にリリースされた、の新譜を聴いた。

前作『In Your Honour』はダブルアルバムで、1枚がロック、1枚がアコースティックという構成だった。2枚組にありがちな中だるみはないが、むしろ各々の曲もトータルとしても、コンパクトにまとまった印象があった。そして本作だが、1枚ものであり、時間だけ見れば個々の曲はコンパクトだが、スケール感に溢れた大作あり、ハードなチューンあり、と、かなりバラエティに富んだ内容になっている。

冒頭の『The Pretender』はシングルカットもされ、現在のバンドの顔たらん曲になりうる資質を備えている。5曲目『Come Alive』までの流れは完璧と言っていいが、この後いろいろな試みがなされている。アコースティックの『Stranger Things Have Happened』、なんとインストの『Ballad Of The Beaconsfield』、ピアノを導入した『Summer's End』『Statues』『Home』など、さまざまな試みがされている。

単にハードでエッジが利いたチューン一本槍だったフーファイが(それはそれで持ち味があってよいのだが)、本作にて表現力の幅を大きく広げ、風格も漂わせるようになった。正統派王道ロックバンドの軌道に乗り、偉大な先人の後継者の座を射止めたかのような作風だ。本来なら、もっと早くにこういうアルバムを作っていてもおかしくなかったと思うのだが、メンバーチェンジなど紆余曲折を経て現在に至ったことに、逆に味わいと深みを感じてしまう。

先月末に、来日記念スペシャルエディションと題された、DVD付バージョンが発売された。DVDはライヴ『Hyde Park』から5曲を抜粋したもので、このライヴDVDを買わなかった人にとっては嬉しいボーナスだが、両方同時に買ったワタシは少ししくじった気分だ(苦笑)。

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