どんとさんのボブ・ディランレポート(1994年)
昨年、ボ・ガンボスのどんとさんが亡くなった。当人と交流のあったミュージシャンたちによるサマーオブどんとという追悼イベントを始め各地でイベントが催され、またネット上でもかなり話題になった。が、ワタシはどんとさんの名前しか存じておらず、増してや音の方は全く耳にしたことがないので、これまで特に触れることはしなかった。
しかし、意外な人物がワタシとどんとさんを結びつけた。誰あろう、ボブ・ディランその人である。
自分のサイトの中にボブ・ディランページを作っていて、その中で過去の来日公演についても何か書こうかと思い調べものをしていた。94年2月の公演について特集しているその当時のミュージックマガジンを押し入れの奥から引っ張り出し、読んでみる。すると、小倉エージや萩原健太といったお馴染みといえる面々の中に、どんとさんがライヴ評を書いていた。
どんとさんは公演最終となるNHKホールを観に行かれていた。ワタシもこの公演を観に行っていてその密度の濃さに感激していたが、どんとさんも同様だったようだ。現役のミュージシャンでもある自らの立ち位置を汲んだ上で文章を書き、そして後半は最近のアルバムについても触れていた。文章にあまり力は入っていないが、それでも感動が読む方にもしみじみと伝わるような文章で、ディランの素晴らしさを知りながらライヴを観に来れなかった人のことも考慮した優しい書き方をしていた。
昨日はディラン4年ぶりの来日公演の初日があり、ワタシも観に行っていた。その内容からワタシは94年のNHKホール公演のことを思い出し、そして、会場のどこかでどんとさんが観ているような気になった。7年前と同じように。
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