SPACE ADVENTURE コブラ(1982年)
惑星ダグザード。賞金稼ぎのジェーンは、かつて名を馳せたコブラと名乗る男を最初は信じなかったが、ふたりが海賊ギルドに襲われたとき、左腕がサイコガンとなって敵を倒すのを目の当たりにする。ジェーンは、自分が惑星ミロスの女王の末裔であることを明かし、コブラに協力を依頼する。
ミロス星は死滅の危機にあり、蘇生させるためにはジェーンの三つ子の姉妹、ドミニクとキャサリンを探し出さなければならない。そしてギルドは、ミロス星が内蔵する自動推進装置を使い、第7銀河を滅ぼそうとしていた。コブラはジェーンと共にふたりを探すが、ギルドの幹部クリスタルボーイも迫っていた。
寺沢武一原作『コブラ』の劇場版で、最初のアニメ作品になる。原作の『イレズミの女』編、『黄金の扉』編を元ネタにしたオリジナルストーリーになり、脚本は寺沢自ら務めている。原作を知っていて観ると、大胆な変更ぶりに驚かされる。
3姉妹のファミリーネームがロイヤルからフラワーになり、次女がドミニク、三女がキャサリン(キャシー)に入れ替わっている。原作ではキャサリンは短い登場に留まり、しかも洗脳されたとはいえ長女ジェーンに殺されてしまう悲運の女性だった。この劇場版では、クリスタルボーイと恋仲というまさかの設定だが、出番が多くしかもクライマックスで鍵を握る存在になっている。
原作ではギルドの傘下のスノウゴリラを率いてコブラと敵対していたサンドラが、ここでは私設軍団でコブラと共闘しギルドに立ち向かうという、よもやの展開を見せている。ミロス星のトポロ教授は、映画オリジナルキャラかと思いきや、『黄金の扉』編にも出ていたキャラだった。
声優陣は、コブラに松崎しげるで、主題歌も担当。この人がアニメ声優を務めるのは、極めて珍しい。レディは榊原良子で、以降のアニメ版でも変わらずに演じ続けている。女性キャラの声優がなんとも豪華で、ジェーンに中村晃子、ドミニクに風吹ジュン、キャサリンに藤田淑子、サンドラは田島令子だ。
劇場公開が1982年7月で、同年10月からはテレビ版『スペースコブラ』の放送が始まっている。
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