ビーディ・アイ(Beady Eye)@Zepp Tokyo
結論から先に書くと、予想を大きく上回る素晴らしいライヴだった。アルバムを聴いていて今ひとつピンと来ず、サマソニでもあまりいい評判が聞こえてこなかったので、嬉しい誤算になった。
まずはオープニングアクト。ア・フラッド・オブ・サークルという日本のバンドで、ギター&ヴォーカル、女性ベース、ドラム、ギターという編成。ギターの人は、どうやらサポートらしい。ガレージロックにやや祭囃子的なリズムを絡めていて、演奏力はまずまず。しかし、日本語で歌っているにもかかわらず、歌詞がほとんど聞き取れない。前半は自虐っぽいMCだったが、後半は一転して謙虚モードになっていた。
セットチェンジ中のBGMは、ストーンズ~ビートルズ~フー~イギー・ポップ~ピストルズ~ジャム~ローゼズという、まあベタなセレクト。時刻が20時ちょうどになるころに場内が暗転し、メンバーが登場した。バックドロップにはビーディー・アイのロゴが映し出され、そのすぐ後に日の丸が。オープニングはビートルズのカヴァー『Across The Universe』。東日本大震災のチャリティーソングだ。
思えばオアシスの初期はシングルのカップリングにカヴァー曲を入れるのが通例で、それらはどれも素晴らしい出来だった。今回もそれに比肩する出来で、リアムの声が曲にマッチしている。続いて『For Letter Word』となり、以降ビーディー・アイの曲が演奏されていく。
リアム及びゲムの佇まいは、オアシスの頃とあまり変わっていない。しかし、ベースからギターに持ち替えたアンディ・ベルは、オアシスの頃と大きな変貌を遂げていた。ゲムのギターソロは『For Letter Word』の中盤だけで、あとほとんどのギターソロはアンディだった。2人とも、ほぼ1曲毎にギターを替えていて、コーラスもこなしていた。そしてアンディのソロだが、シューゲイザーの如くうつむき気味で、ノイジーでメタリックなリフを刻んでいた。対するゲムが主メロを担っていたように見えた。
バックドロップには、サイケデリックな模様やアルバムのブックレットなどが曲毎に映し出されていて、スウィンギング60'sのようなポップアートを思わせた。サポートはベースとキーボードの2人が入っていたが、特にキーボードの音色が重要になっていたと思う。
今のところのバンドのキラーチューン『The Roller』は序盤に、3月13日のパリ公演では日本に捧げると言って始まった『Kill For A Dream』を中盤に、そして終盤は『The Beat Goes On』『Man Of Misery』などで攻め立て、『Morning Sun』で本編を締めた。ほとんど間を置くことなくアンコールとなり、『Wig Wam』『Sons Of The Stage』の2曲でライヴは終わった。約60分のライヴと聞いていたが、終わってみれば1時間10分のライヴだった。
CDで聴いていて今ひとつと思われたアルバムの各曲は、どれもライヴ映えしていた。そして何より、冒頭の日の丸が揚がった瞬間、いいようのない感動が沸き上ってきた。この先、このバンドがどうなっていくのかが楽しみだ。
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