『ブライアン・ウィルソン/約束の旅路』を観た
ブライアン・ウィルソンのドキュメンタリー映画を観た。
元ローリング・ストーン誌のライターがポルシェを運転し、助手席のブライアンと対話する形式で、ブライアンにいろいろ語ってもらう。変則的なインタビューだが、それが現在のブライアンには合っていたのだと思う。
クルマは、ビーチ・ボーイズのアルバムジャケットを撮影したビーチ、ブライアンたちが生まれ育った家の跡地(モニュメントがあった)、かつて住んでいた自宅があった場所、行きつけのレストランなど、カリフォルニアのビーチ・ボーイズやブライアンゆかりの地を訪れる。
合間合間に、若い頃の映像が挿入されている。60年代、ヒットを飛ばしテレビ番組に出演したときの映像が、とても眩しい。そして、ブライアンへの賛辞を惜しまないアーティストたちの顔ぶれが、とても豪華だ。ジェイコブ・ディラン、ブルース・スプリングスティーン、エルトン・ジョン、ドン・ウォズ、フー・ファイターズのテイラー・ホーキンス(!)らだ。
しかし、ブライアンのアーティスト人生は、必ずしも順調ではない。ツアーを離脱し傑作『Pet Sounds』を生み出すものの、続く『Smile』は制作途中で精神的に追い込まれて断念。その後、精神科医ユージン・ランディに振り回される日々は、9年間にも渡ったそうだ。
ふたりの弟、デニスとカールについては、いろいろと語ってくれた。サーフィン・ミュージックを数多く世に出したビーチ・ボーイズだが、実際にサーフィンをしていたメンバーはデニスだけで、女性にとてもモテたそうだ。カールは煮詰まったブライアンにちょっとした助言をして、それでうまくいったことがあったそうだ。デニスは39歳で溺死、カールは51歳でガンで亡くなっている。
ブライアンは2度結婚していて、最初の夫人マリリンとの間に生まれたふたりの娘(ウィルソン・フィリップスとして活動)の姿も確認できる。現夫人のメリンダは、ユージンからブライアンを救った人だ。ブライアンは養子をかなりもらっていて、ラストの家族写真は大所帯になっていた。
ふたりの弟以外のビーチ・ボーイズのメンバーには、ほとんど語られなかった。マイク・ラヴとの関係性とか、本人の口から聞きたかったが、さすがにムリだったのかな。2012年の50周年ツアーでブライアンはビーチ・ボーイズに復帰しているが、これにもノータッチだった。
ただその代わり、自身のバンドでのライヴ、レコーディング、リハーサルの様子などは堪能できる。『Smile』『Pet Sounds』全曲ライヴでは来日公演も実現しているので、そのときのことを思い出した。ハリウッド・ボウルでのライヴをクライマックスに持ってきていたのは、この人が現在進行形であることを示しているようだった。
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