崖の上のポニョ(2008年)
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最終更新日:2022/05/19
ジブリ
海中の家を出て海岸にたどり着いた、魚の女の子ポニョ。空き瓶に体が挟まっていたのを保育園児の宗介が助け、ふたりは心を通わせる。ケガをした宗介の指をポニョが舐めると、すぐに治癒。そして、このとき人間の血を吸ったことで、ポニョは人間の女の子の姿になる。
ポニョの父フジモトはいったんポニョを連れ戻すが、宗介に会いたいポニョは再び家出。そして台風が発生し、宗介たち人間が住む街はほぼ水没してしまう。高台にある宗介の家はぎりぎり水没を免れ、宗介とポニョは老人ホームの様子を見に行った母リサを探しに行く。
現代の日本のどこかの港町を舞台にした、ジブリアニメになる。人と人ではない存在が違和感なく共存していて、宗介やリサはポニョを見ても別に驚きもしない。宗介の父は船乗りで、家を空けていることが多い。宗介が通う保育園には老人ホームが隣接し、宗介を孫のように接する人のいい老婆ふたりと、偏屈な性格の老婆がいる。
ポニョの身に起こったことは世界の生態系にも影響があるらしく、フジモトはポニョをもとの魚に戻そうとする。しかしポニョの母グランマンマーレは、別の解決策を提案。彼女は、ポニョの母であるだけでなく、海全体の母のような存在感の大きさだ。
声優は、ポニョと宗介は子供が担い、ほかほとんどは芸能人が担っている。リサの山口智子は、キャラクターはぴったりだが、声と役はフィットしているとは言い難い。父は長嶋一茂で、ドラマ『ザ・ドクター』の頃の「棒」演技を思えば、本作の声あてはかなりまし。老婆役には吉行和子、奈良岡朋子、左時枝と大御所揃いで、役に合うと思う一方、端役をよく引き受けてくれたなとも思う。
フジモトの所ジョージは、役に合っていない。グランマンマーレの天海祐希はまずまず。終盤でのリサとのやりとりは力のある女優同士の連携にも思え、興味深かった。ポニョの妹たちは矢野顕子で、出番はわずかだったが、役にぴったりだった。
海の中の世界を描くのは、実写でもアニメでもハードルが高いと思っているが、本作の表現はとても素晴らしい。海中のポニョの家の構造は興味深かったし、100匹近くのポニョの妹たちがポニョが宗介に会いに行くのをサポートするのも微笑ましい。台風のときの荒波を太い線で描写しているのは、緻密なタッチのジブリ作品では珍しく、そして新鮮だった。
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