ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(ネタバレあり)
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最終更新日:2024/04/23
ドクター・ストレンジ スパイダーマン, ヘイリー・アトウェル, ベネディクト・カンバーバッチ, マーベル
ドクター・スティーヴン・ストレンジは、かつての恋人クリスティーンの結婚式に出席中、街中で暴れている一つ目の怪物から少女を救う。彼女は、スティーヴンが夢で見た少女アメリカ・チャベスだった。彼女はマルチバースを移動する能力を持ち、スティーヴンが見たのは夢ではなく、別の宇宙で実際に起こったことだという。
スティーヴンはチャベスをカーマ・タージで守らせつつ、マルチバースに詳しいワンダ・マキシモフを訪ねる。ワンダはチャベスのことを知っていて、別の宇宙にいる息子たちに会うべく彼女の引き渡しを要求。カーマ・タージを強大な魔力で攻撃し、チャベスは恐怖のあまりマルチバースを移動する能力を発動させ、自身とスティーヴンは別の宇宙に飛ばされてしまう。
劇中の時間軸は『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(NWH)』の後になるが、一方でディズニープラスで放送されていた『ワンダヴィジョン』の流れも汲んでいる。後者は未見だったので、観終わった後に調べて知識を補完した。ワンダが強大な力を持ったこと、息子との家庭などは、ここで描かれていたようだ。
ワンダはスティーヴンを逆恨みしていたが、それは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でスティーヴンがやむを得ずサノスにタイムストーンを渡していたがために、ヴィジョンが絶命してしまったからだった。というわけで、本作のヴィランはアベンジャーズとして共に戦ったワンダだ。
別の宇宙では、スティーヴンは死亡している。世界を統治しているのは、アベンジャーズではなくイルミナティ。そのメンバーは、もとの宇宙ではスティーヴンの兄弟子にして袂を別ったマスター・モルド、インフューマンズのブラックボルト、もとの宇宙ではキャロルの友人だったマリアのキャプテン・マーベル、X-メンのプロフェッサーX、ファンタスティック・フォーのミスター・ファンタスティック、そして、キャプテン・アメリカならぬキャプテン・カーターだ。
『NWH』でのマルチバース導入以降、本来交わることのなかった作品のキャラクターの共演が実現している。そもそも、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)自体、複数のヒーローが共演する夢の舞台だったが、これが益々加速している状態だ。
ただ、ヒーローの乱立だけでなく、主人公スティーヴンとクリスティーンとの人間模様も描かれているのが興味深い。もとの宇宙では、大事故に遭って魔術の能力を得る以前のスティーヴンは、腕こそ天才的だが傲慢な医師で、周囲との軋轢など気にしてはいなかった。別の宇宙では、成り行きもあってクリスティーンはチャベスとスティーヴンに協力。スティーヴンは、かつての自分のあり方を改めた姿勢で、彼女に接している。
キャストは、スティーヴンをベネディクト・カンバーバッチ、クリスティーンをレイチェル・マクアダムス、ワンダはエリザベス・オルセン、と、もちろん同じ俳優が続投。個人的に驚きかつ嬉しかったのは、キャプテン・カーターつまりペギー・カーターのヘイリー・アトウェルの登場だ。MCUでは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で天寿を全うし、『アベンジャーズ/エンドゲーム』のラストでスティーヴ・ロジャースとダンスするシーンがあった。もう彼女の出番はないだろうと思っていたからだ。
監督はサム・ライミ。個人的にはトビー・マグワイアが主演した『スパイダーマン』シリーズのイメージだが、一方でホラー映画を手掛けてもいる。気色の悪い怪物や、別の宇宙で処刑されたスティーヴンがゾンビ化するなど、本作はMCU作品中最もホラー色が強い。
ラストおよびポストクレジットにて、また新たな展開を誘導している。また、上映開始前には『ソー:ラヴ&サンダー』の予告編もあった。『スパイダーマン』が一段落ついたものの、MCUはまだまだ続く。
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