美術手帖 2012年11月号 荒木飛呂彦特集
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最終更新日:2022/03/16
マンガ版 ジョジョ, スティーヴン・キング
その名の通り美術関連の専門雑誌で、荒木飛呂彦を特集していなければ、まずワタシにとっては縁のない雑誌だ。荒木飛呂彦特集はすなわちほぼジョジョ特集で、契機は2012年に東京で開催されたジョジョ展だ。カラフルな色彩の原画が掲載されているほか、仙台ジョジョ展の取材もあった。
美術という観点からのジョジョの考察も、読みごたえがあった。各部の概要、ジョジョ立ちのルーツはイタリア芸術にある、ホラー映画やスティーヴン・キングの影響、など。『岸辺露伴ルーヴルへ行く』が、もともとはフランス語圏のマンガとして書き下ろされ、翌年に日本語版が出たという経緯も、この書を読んで知った。
中でも興味深かったのが、キャラクターのファッションに着目した考察だ。男性向けマンガではファッション面が軽視されることが多いと口火を切った上で、各部毎の特徴を掘り下げている。第1部第2部は隆々とした筋肉を誇張させるラフなもの、第3部第4部は学ラン、と、ここまではよくある男性マンガの域の中。しかし第5部からはファッション性が格段に向上し、それとともに時代性は無視され性別の境界線も微妙になってきている、と指摘している。
1,600円と、雑誌にして決して安くはないのだが、ワタシにとって一読の価値はあった。また、文中に引用元としてしばしば出てきたのが、文芸雑誌『ユリイカ』の、2007年の荒木飛呂彦特集号だ。
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