ユージュアル・サスペクツ(1995年)
ニューヨーク市警にて、ある銃器強奪事件にかかり、5人の常に容疑者として挙がる人物たち(ユージュアル・サスペクツ)が拘束される。結局5人は釈放されるが、その後彼らはチームを組んで宝石強奪を成功させる。しかし、続くヤマでは宝石ではなく少量の麻薬を掴まされ、5人は大元の依頼主である弁護士コバヤシと対峙する。
コバヤシは、5人に対し麻薬密輸船の襲撃を命令する。その命令は伝説のギャング「カイザー・ソゼ」の意思であり、5人はみな過去にソゼに関わる窃盗を働いていた。5人がニューヨーク市警で顔を合わせたのも、ソゼが仕組んだことだとコバヤシは言う。5人のうち、フェンスターはソゼの名を聞き逃亡を図るが、やがて死体で発見される。
冒頭が麻薬襲撃船のシーンになり、ただひとり生き残ったキントが、捜査官の取り調べに応えて回想する形でストーリーは進む。カイザー・ソゼは実在しない人物とも言われていて、リーダー格のキートンはコバヤシがソゼではと推測する。キントが生き残ったのは、左手足が麻痺していて、キートンから船に乗り込むことを免除されていたからだった。
ラストがどんでん返しで、ソゼは実はキントだったことが明らかになる。キントの供述はすべてその場でのでっち上げで、釈放されて警察署を後にしたキントは、実は手足の麻痺などなく、それを演じていただけだった。迎えに来たクルマに乗り、運転席にいたのはコバヤシだった。
確かにどんでん返しではあるが、個人的にはいろいろツッコミたい。キントが署を出た後に捜査官は正体に気づいているし、容姿もバレてしまっている。なので、この後逮捕されるのは時間の問題ではと思ってしまう。そして何より、キントに大物感がないのが物足りない。劇中一度でも、凄味をきかせてキートンらをびびらせるシーンがあればよかったのだが(そんなのがなかったから、どんでん返しが成立しているのかもしれないが)。
キントはケヴィン・スペイシー、キートンはガブリエル・バーン、フェンスターはベニチオ・デル・トロ。ケヴィン・スペイシーは、同年に公開された『セヴン』で猟奇的殺人を重ねる犯罪者を演じ、本作と併せて俳優として一気に飛躍している。
序盤で5人が横一列に並んだビジュアルは、『PSYCHO-PASS』などに流用されている。『ジョジョの奇妙な冒険 第5部』での、ブチャラティのチームのショットもそう。この第5部は、ギャング「パッショーネ」のボスであるディアボロが、自らの正体を殊更に隠し続けていて、幹部ですら会ったことがないことになっている。この設定は、キント/ソゼから引用しているのかもしれない。
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