鬼滅の刃 那田蜘蛛山編
2019年に、半年に渡って放送されていたアニメ『鬼滅の刃 竈門炭治郎立志編』。9月、劇場版『無限列車編』の地上波初放送、テレビ新シリーズ『遊郭編』放送開始に先駆けて、5つのパートに分けて放送された。『那田蜘蛛山編』は第4幕になり、立志編のクライマックスにもなっている。
炭治郎・善逸・伊之助の3人は、司令により那田蜘蛛山へ向かう。鬼は「下弦の伍」累と、家族役として父・母・兄・姉を担わされている鬼たちだった。先発隊がほぼ全滅した中、炭治郎は母役の鬼を倒し、伊之助と2人で父役の鬼と対峙。炭治郎は吹っ飛ばされ、伊之助も窮地に陥るが、駆けつけた富岡が瞬殺する。
2人に出遅れた善逸は、兄役の鬼と対決。毒を浴びて蜘蛛になりかけるも、気絶によって覚醒し倒す。毒が回る前に、胡蝶しのぶが駆けつける。吹っ飛ばされた炭治郎は、累と交戦。家族を欲していた累は他の鬼たちに強制していたが、禰豆子と炭治郎の兄妹を目の当たりにし、禰豆子をよこせと炭治郎に要求する。
ついに十二鬼月と対峙、そして家族役の鬼たちとも戦わなくてはならない、炭治郎たちにとってはかなり厳しい状況での戦いだった。善逸と伊之助は、それぞれに持ち味を発揮。代償に善逸は毒で死にかけ、父鬼に歯が立たなかった伊之助は自信を失う。炭治郎は偶発的にヒノカミを使い、禰豆子は爆血を放ち、しかしそれでも累を倒すには及ばず。もし富岡が駆けつけるのが遅ければ、と思ってしまう。
鬼はもともと人間で、『鼓屋敷編』の響凱もそうだったが、人間だった頃の悲しみや苦しみが描写される。今回の累は体が弱かったところを無惨によって鬼にされ、父と母は人を食べるようになってしまった累を殺そうとし、累はそれに反発して2人を殺してしまった。しかし、富岡・炭治郎に敗れて死ぬ間際、父と母が累を想い、一緒に死ぬ覚悟を決めていたことを知る。鬼側の描写が深掘りされる、この作品の魅力のひとつが発揮された場面だ。
累の声優は、内山昂輝。穏やかな口調でいながら怒りの感情を秘めているという、特異なキャラクターを演じていた。個人的には、『機動戦士ガンダムUC』の主人公バナージ・リンクスで記憶していた。『UC』は数あるガンダムシリーズの中でも記念碑的な作品だと思っていて、その中心をこなした人をまだ作品前半のここで使うとは、つくづく贅沢な起用の仕方をしている(この後もそれは続くけど)。
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