100分 de 石ノ森章太郎
Eテレでは、毎週25分を4週、つまり100分でひとつの名著もしくはひとりの作家を取り扱う番組がある。また、不定期に100分番組の特番も放送される。2018年に石ノ森章太郎の特番があり、それが昨年再放送されていた。
論客たちが石ノ森の作品をピックアップし、全員で作品について語る。漫画家ヤマザキマリは『さるとびエッちゃん』、精神科医名越康文は『サイボーグ009』、漫画評論家夏目房之助は『佐武と市捕物控』、評論家宇野常寛は『仮面ライダー』。勿論最初は石ノ森の原作を紹介するが、これらはいずれもアニメ化/実写化されていて、原作との差異あるいはアニメ化によりどう拡大されていったか、などが論じられた。
エッちゃんには感情がないこと、『佐武と市』の原作は映画のようなコマ割りをやっていること、『仮面ライダー』はテレビの企画が先にあって、当初はシンプルでスタイリッシュなデザインだったが、グロテスクさが足りないと石ノ森側から差し替えの申請があって1号のバッタをモチーフにしたデザインになったこと、などが語られた。
個人的に最も好きな石ノ森作品は『009』なので、特に注目した。『地下帝国ヨミ編』で一度は完結したものの、後に再開。ただ、再開後には誰と戦わせるかを石ノ森は苦悩したと考察し、神(実際はロボット)や天使などを持ち出し、未完のまままた別の編を書くということを繰り返している、と指摘していた。未完ということで、平井和正原作の『幻魔大戦』についても触れていた。
別枠で漫画家へのインタビューもあり、女性漫画家の「24年組」のひとり竹宮恵子、石ノ森直系の弟子のひとりと言っていい島本和彦が、それぞれ語ってくれた。島本は石ノ森の未完の作品の続編を書いていて、もっと淡々と冷静に話すかと思いきや、まるでファンのように熱弁していた。
石ノ森も、手塚治虫も、共に60歳で亡くなっている。早すぎる死だったが、ふたりが残した作品は古びることなく、今でも読まれ続けている。もちろん、ワタシもだ。
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