機動戦士ガンダム SFワールド
かつてワタシが所持していた本に、講談社の『機動戦士ガンダム SFワールド』という書があった。発行が1981年8月で、確かその年の暮れに購入したと思う。時期的には、ファーストガンダムの劇場版『哀・戦士編』と『めぐりあい宇宙編』の間になる。
メカニックデザイナー大河原邦男が手掛けた、ガンダムやザク、グフ、ドムなどのモビルスーツたち。そして、ガンダムやホワイトベース、ザクらの試作デザインもあって、制作の裏側を垣間見た気持ちになる。美術監督中村光毅による、ジャブローやムサイのブリッジなどのデザインもあり、見ていてテンションがあがる。極めつけは、中村・大河原両氏合作による、「瀕死のガンダム」という書き下ろしポスターだ。実際にはないシーンだが、ア・バオア・クーをバックに、両手と頭部を失ったガンダムが浮遊している。
「SFワールド」とある通り、話題はガンダムのみに終始していない。鉄腕アトムに始まりマジンガーZやガンダムを経てアラレちゃんに至る日本のロボットアニメの歴史の考察、スペースシャトル計画のこと、アメリカでは『スター・トレック』人気が凄まじいこと、早稲田大学で二足歩行ロボット「ワボット」の研究開発がされていること、富野善幸(現:由悠季)によるSF映画の考察もある。これらのテキストの合間には、『2001年宇宙の旅』『未知との遭遇』『ニューヨーク1997』『メトロポリス』などの写真が挿入されている。
『クラッシャージョウ』の作者高千穂遥によるコメントは、興味深かった。『ジョウ』はSFで『ガンダム』はSFではないと言い切り、その違いは巨大ロボットが出ているかいないかとのこと。『スター・ウォーズ』に対しては「SFが好きで好きで仕方がない人たちが作った映画」と言い、野田昌弘がそれを聞いてうらやましそうに、あるいは悔しそうに同調したそうだ。個人的には、エドモンド・ハミルトン『キャプテン・フューチャー』の翻訳者として、野田を知っていた。
ワタシのSF映画やアニメに対する見方や考え方は、40年前に読んだこの書に大きな影響を受けていると気づいた。
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