機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(ネタバレあり)
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最終更新日:2021/06/22
逆襲のシャア・閃光のハサウェイ ガンダム
第二次ネオ・ジオン抗争から12年後の、宇宙世紀0105年。地球に降下中の特権階級専用シャトルに、反地球連邦組織「マフティー・ナビーユ・エリン」を名乗るテロリストが侵入。地球連邦軍大佐のケネス・グレッグは、植物監察官のハサウェイ・ノアと共に、テロリストたちを押さえる。テロリストたちは、偽者だった。
シャトルは、フィリピンのダバオに着陸。ハサウェイは取り調べを受ける一方、乗客のひとりギギ・アンダルシアと知り合い、行動を共にする。2人が宿泊する高級ホテルを、マフティーのモビルスーツが襲撃。連邦軍のモビルスーツが迎え撃ち、ダバオ市街地は戦場と化す。ハサウェイには、マフティーのリーダーというもうひとつの顔があり、連邦軍への牽制として仕掛けさせていた。ギギはハサウェイがマフティーであることを見抜き、ケネスもギギを通してハサウェイを疑う。
原作は富野由悠季による小説で、『逆襲のシャア』の続編として約30年前に刊行された。まさかの映像化だが、もちろん大歓迎だ。画質といい、スピード感といい、臨場感といい、映像のクオリティの高さが素晴らしく、劇場のスクリーンで観るにふさわしい。
実はモビルスーツ同士の戦闘シーンは少なく、序盤から中盤までは人間ドラマの方に重点が置かれている。しかし、これを地味とも思わせず、退屈と感じさせない描写になっている。ハサウェイがクスィーガンダムに搭乗して連邦のペーネロペーと対峙するのは、終盤のみだ。
ハサウェイは、パイロットでありつつマフティーのリーダーでもあり、立ち位置としてはシャアに近い。ケネスも自らモビルスーツには乗らない、連邦の士官だ。ギギに至っては民間人であり、シャトルに乗れたのは立場のある老人の愛人で、ホンコンに用立ててもらった住まいに行くためだった。これまでのガンダムは、最初から軍人か、あるいは巻き込まれて軍人になって戦うケースが大半で、今回の3人の出自と巡り合わせは、新鮮に映る。
全3部作を予定しているとのことで、『ハサウェイ』単体としても楽しめる。がしかし、やはり『ファースト』からの世界観、そして『逆襲のシャア』直系の続編という楽しみ方もある。主人公ハサウェイがブライト・ノアとミライの息子であり、実は『Zガンダム』から登場していて、彼の成長という見方ももちろんできる。
公開前の予告編で既に明かされているが、『逆襲のシャア』でアムロとシャアが出くわし、クエス・パラヤがシャアのもとに行く場面を、アングルを変えてハサウェイの目線で描いている。また、アムロがささやくセリフは、終盤のかなり切迫した場面でハサウェイの脳裏に響き、彼はそれで気持ちを持ち直す。
ワタシは原作の小説は未読だが、ネットにて結末を知ってしまっている。かなりショッキングだが、といってさすがに改変するわけにはいかないはずなので、アレを生かしつつすっきりした終わらせ方に着地させられるかが注目だ。
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