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ルパン三世 カリオストロの城(1979年)

公開日: : 最終更新日:2022/08/11 ルパン三世

ルパン三世 カリオストロの城(1979年)

国営カジノの金庫を襲い、大金をせしめたルパンと次元。しかし、ルパンは盗んだお札が、「ゴート札」という偽札であることに気づく。2人は、ゴート札の出所と噂されているカリオストロ公国に向かう。入国してまもなく、2人はウェディングドレス姿の少女が何者かに追われているのを見かけ、少女に加勢。しかし、結局少女は連れ去られてしまう。

彼女は亡き大公の娘クラリスで、摂政のカリオストロ伯爵に結婚を迫られていた。クラリスはルパンに指輪を託してたため、伯爵はルパンに暗殺部隊を仕向ける。一方ルパンは、先に忍び込んでいた不二子からクラリスの居場所を聞き、彼女の救出を試みる。

ルパンVS複製人間』の1年後に公開された、ルパン三世の劇場用アニメ第2作になる。意外にも、興行収入は前作を下回ったとのこと。思い当たるのは、本作のルパンは原作のイメージから離れていて、当時は『未来少年コナン』のコナンに似ていると言われていた。

コナン似なのも無理はなく、宮崎駿が監督・脚本だからだ。本作と前後して、宮崎は当時放送中だったテレビ第2シリーズでも『死の翼アルバトロス』『さらば愛しきルパンよ』を手掛けている。後者は、第2シリーズの最終回だ。その後のジブリアニメの大ヒット連発によって、宮崎のステータスは国内ばかりか海外でも巨大になり、本作もテレビ放送の繰り返しなどにより、名作としての地位をゆるぎないものとしている。

主要キャストは、ルパンを山田康雄、次元大介を小林清志、不二子を増山江威子、石川五ェ門を井上真樹夫、銭形警部を納谷悟朗と、鉄壁の布陣。カリオストロ伯爵は、石田太郎。俳優が本業のこの人は、『わが青春のアルカディア』『宇宙戦艦ヤマト完結編』などで、ラスボス役をこなしている。クラリスは島本須美で、この役と『風の谷のナウシカ』のナウシカ役で、清楚な少女キャラ役をこなすイメージが定着したと思う。

前作が世界各国を舞台にしていたのに対し、本作は舞台をカリオストロ公国という小国に凝縮している。フィアットを駆ってのカーチェイスや、クラリスが閉じ込められている搭に、結果的にではあるが無茶苦茶な方法で乗り込むルパンなど、テンポがよく観ていて気持ちがいい。ルパンが以前にクラリスと会っていたというエピソードも、いい伏線になっている。

数あるルパンの多くは、ルパンとその仲間の視点から描かれていると思う。しかし本作は、半分はクラリスの視点から描かれている。世間的にはルパンは大泥棒、銭形はインターポールの刑事だが、クラリスにとってはふたりとも「優しいおじさん」だ。ラス前で銭形がクラリスに言った名ゼリフに、それが集約されているのだ。

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