至福
今まで数多くのライヴを観に行って、ああこの場にいてよかったと実感したことが何度もあった。ワタシにとってのその代表格は、97年や2001年のボブ・ディランであったり、フジロックでのレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンやイギー・ポップやパティ・スミスであったり、2000年のスカンク・アナンシーだったりする。
今夜のプリンスも、これらのライヴに並んでワタシの心の中に強く残り、そしてこれからも生き続けることだろう。会場がZepp Sendaiというライヴハウスだったことは、もちろんいい方に作用し、オーディエンスのノリも好調だった。そして今までの公演の構成を崩しに崩したセットリストにブチのめされ、アンコールが終わり、客電がつき、スタッフが機材の後片付けを始め、「本日の公演はこれで終了しました。」というアナウンスがあり、ああこれでもう終わったんだなと思ったそのとき・・・、プリンスは再びワタシたちの前に姿を見せたのだ。
プリンスという人は、特にライヴの場においては、ファンを満足させることをまず第一に考える人だ。それを成し遂げた上で、冒険もすれば実験までしてしまうのが凄いところなのだが、そのプロフェッショナル魂から生み出されたフレームを、自分で崩すことはしない人なのだろうと思っていた。しかしこの夜は、それが崩れたのだ。
再び姿を見せたプリンスに、慌ててスタッフはステージから退散。再び客電が落ちて、アコギ1本で『The Last Decenber』を歌ったプリンス。新作『The Rainbow Children』のラストを飾るこの曲は、『Adore』に並んで、ワタシの最も好きな曲になった。
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