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スタンリー・キューブリック『シャイニング』を分析した『ROOM237』

ROOM237

は、自身が監督した作品の中にさまざまな仕掛けやメッセージを仕込んでいる、という話はなんとなく聞いたことがある。それを検証したかのような、『ROOM237』という作品を観た。対象は、1980年公開の『シャイニング』だ。

冒頭で、キューブリック側やワーナー、原作者とは何ら関係なく制作したドキュメンタリーとのメッセージが出る。がしかし、本編には『シャイニング』ばかりかそのほかのキューブリック監督作品の映像がふんだんに使われ、手を加えられている。冒頭メッセージの直後が、『アイズ・ワイド・シャット』の演じる医師が、映画館入り口前の『シャイニング』のポスターの前で足を停めていて、早速合成だ。

分析のポイントはいくつかあって、以下は一部。

カルメットの缶詰めが、序盤では整然と陳列されているが、後半のジャックがグレイディと対峙する場面ではバラバラに陳列されていて、大量虐殺を暗示している。

序盤にちらっとだけ確認できる宿泊客の服の背中に「42」がプリントされていること、タイプライターがドイツ製であること、ジャックが持ち込んだ大きなスーツケースが無造作に積み上げられていることなどは、ホロコーストを暗示している。

廊下で座って遊んでいるダニーのセーターにはアポロ11号が編まれていて、立ち上がり、237号室のドアを開ける場面は、アポロ11号の発射と月への到達を暗示している。地球から月までの距離は、約237マイルとのこと。アポロ11号の月面着陸映像が捏造という説はあるが、キューブリックもそれに加担しているのでは?とここでは提示されている。

他にも、色々な分析と考察がある。正直言ってほとんどがこじつけに思え、共感はできない。

ありがたいなと思ったのは、ホテル館内の図面が平面図と立体CGで再現されていることだ。ダニーが三輪車でどこをどう走っているのかについては、四角形状の廊下をぐるぐると回っているとのことだった。事務室の窓の位置は長い廊下になっていて、ありえない構造だという指摘もされている。

映像は、恐らく無許可で使用し、改変しているのだろう。これが映画として成り立ってしまっているのは、ブラックユーモアの扱いになっているからではないかと思う。

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