デヴィッド・ボウイ(David Bowie)『Glastonbury 2000』
デヴィッド・ボウイが、2000年のグラストンベリー・フェスティバルにヘッドライナーとして出演。そのライブが、CD2枚+DVDで2018年にリリースされた。CDとDVDで収録曲に差はなく、音に集中して聴く場合はCD、映像を楽しみたい場合はDVDを選択できる。以下は、DVDについて書く。
バンドが先にスタンバイして演奏をはじめている中、ボウイがゆっくりと歩いてステージに姿を見せる。これだけで、場内からは歓声が湧く。実はボウイはこのフェスに頻繁に出演しているわけでもなく、1971年以来とのこと。そのボウイのいでたちは、ロングコートをまとい、そしてなんと長髪だ。
スローな『Wild In The Wind』という、やや意外な曲でスタート。以降、キャリアを横断するように新旧取り混ぜて演奏する。しかし、前年にリリースされた当時の新譜『Hours…』からは、1曲も演奏されなかった。個人的には、『Station To Station』からアルバム全6曲中4曲が披露されているのが嬉しい。
バンドは、90年代以降ボウイを支え続けるベースのゲイル・アン・ドロシー、盟友マイク・ガーソンにアール・スリックと、強力な布陣だ。ブックレットには、ボウイがグラストンベリーに望む前2か月くらいの日記が掲載されていて、それによるとアール・スリックは何年も隠遁状態だったとか。そして恐らく、このメンバーの多くが2003年のアルバム『Reality』と翌2004年の来日公演に参加していると思われる。
MCも豊富(CDでも、大半がカットされずにそのまま収録されている)。ボウイはグラストンベリーに何度も出演しているかと思いきや、1971年以来実に29年ぶりの出演なのだとか。ファンがステージに上がってきてもみくちゃになったことなど、当時の思い出を語っていた。
アンコールは代表曲のオンパレードだが、『Let's Dance』は出だしのアレンジを大きく変えてきた。しっとりしたメロディーで、歌詞をよく聞けばそれとわかる。ワンコーラスを経たところでギアが入り、通常のロックモードにシフトした。オーラスは意外な『I'm Afraid Of Americans』で、終了後、ボウイはバンドメンバーと肩を組んで挨拶した。
ボウイがロックフェスティバルに出演した映像は、このほかにフェニックス・フェスティバルやモントルー・ジャズ・フェスティバルで観たことがある。日本のフェスにも、出演してほしかった。
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