機動戦士ガンダム0083 ジオンの残光
宇宙世紀0083。ジオンの残党デラーズ・フリートは、地球連邦軍のガンダム開発計画を察知。アナベル・ガトーが、ガンダム試作2号機を奪取する。2号機は、南極条約で使用禁止されていた核兵器を搭載していた。デラーズ・フリートは宣戦布告し、連邦軍の新造戦艦観艦式を襲撃。テストパイロットのコウ・ウラキは、ガンダム試作1号機にてガトーと相討ちし、両ガンダムは共に破壊されてしまう。
しかし、デラーズの真の目的は、地球へのコロニー落としだった。ガトーはモビルアーマーに乗って任務を遂行しようとし、コウはガンダム試作3号機にてガトーを止めようとする。コロニーを制御するコントロールルームにて2人は対峙するが、その場にはアナハイム・エレクトロニクスの技術士官ニナ・パープルトンも居合わせた。コウとニナは心を通わせていたが、その場でコウはニナとガトーの関係を知る。
もとはOVA計13話として制作され、その編集版として劇場公開されたのが「ジオンの残光」になる。制作時期は91年から92年とのことで、「F91」の後くらいだろうか。劇中の時間軸としては、ファースト(1年戦争)とZガンダム(グリプス戦役)の間になり、ここでの攻防があったことで、連邦軍内にティターンズが結成される、という流れになる。バスク・オムやジャミトフ・ハイマンが登場するほか、ハマーン・カーンもちらっとだけ姿を見せる。
ファーストのときには全く描かれず、以降のガンダムではかなり大きな存在になるアナハイム・エレクトロニクス社が、ここでも登場する。一方で、ZガンダムやZZガンダムの中軸のひとつである、ニュータイプや強化人間は全く出てこない。ガトーは「ソロモンの悪夢」の異名を持つ突出したパイロットだが、それでもオールドタイプだった。連邦側では、ファーストやZのように民間人が巻き込まれてガンダムを操縦するスタイルは取らず、最初から軍人のコウがガンダムに乗っている。なので、従来の有方での戦争を描こうとしたように感じる。
とまあ、いろいろ語れど、本作はつまるところコントロールルームでの3人の対峙に尽きる。ガトーとニナはかつて恋人同士で、そのガトーを守るために自分に銃を向けてきたニナに、コウは絶望する。ニナは、ベルトーチカと共に、ガンダム史上最低の女の烙印を押されていると思う。OVAではラストで2人が再会するとのことだが(観たのがだいぶ前なので覚えていない)、この劇場版ではそのシーンはない。なくて正解だと思う。
劇中の時間軸としては、まだ完結していない「サンダーボルト」と重なってくる可能性があり、少し期待している。
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