ルー・リード(Lou Reed)『Lollapalooza Live 2009』
アメリカを代表するフェスティバルのひとつ、ロラパルーザの2009年シカゴにルー・リードが出演したときの模様を収録したライヴDVDになる。
画面は限りなくモノクロに近いセピア色で、メニューもチャプターもなく、DVDを入れると即演奏がスタート。バンドメンバーは、ギター2人、ベース、ドラム、サックスにエレクトロニクスという、この人にしては大所帯な編成だ。
ライヴは、いつものように『Sweet Jane』で始まるのだが、大所帯バンドによる重厚な演奏は実験的なたたずまいを見せ、ルーを含む3人のギタリストはひたすらリズムを刻むのに徹している。エンタメ性が薄く、不特定多数のファンが観るフェスティバル向けとはとても思えない。が、この人はフェスと単独お使い分ける人ではないと思うし、この時期のスタイルをそのまま実行しているにすぎないと思われる。そして、それはファンにとっては願ってもない展開だ。
中盤、『Paranoia Key of E』の後、ステージにはルー、サックス、エレクトロニクスの「メタル・マシーン・トリオ」編成となり(でもドラマーもいたかな)、15分に渡るノイズインプロヴィゼーションを繰り広げる。場内を異様な緊張感が包む中、やがて他のメンバーがステージに戻り、『I'm Waiting For The Man』へとなだれ込む。この切り替えの瞬間こそが、ライヴのハイライトだ。そして、ラストは必殺の『Walk On The Wild Side』となる。
ルー・リード最後の来日は、2004年のフジロックだった。その後も、この人はリタイアもスローダウンもすることなく、ますます実験的になっていて、進化し続けていた。せめてあと1回、ナマでライブを観たかった。
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