ビーディ・アイ(Beady Eye)『Different Gear, Still Speeding(来日記念限定盤)』
2月にリリースされたビーディー・アイのアルバムだが、来日にリンクするようにしてDVD付限定盤がリリースされた。どうしてこういうことをするのかと思いつつ、結局入手。しかし、この限定盤はそうする価値がある。
アルバムは当初リリースされた盤と同じで、ボーナストラック2曲も同じ。そしてDVDだが、当初盤はPV5曲入りだったのが、今回は3月13日にパリで行われたライヴ約50分とPV5曲が収録されている。細かいことを書くと、PV5曲は当初盤と1曲だけ異なる。
さて目玉のパリライヴだが、会場はライヴハウス規模と思われる。ライヴは『For Letter Word』でスタートし、以降アルバムからの曲を丹念に演奏していく。リアムは機嫌がいいらしく、MCも豊富だ。
フロントにリアム、向かって右にギターのゲム、左にサポートのベーシストであるジェフ・ウートンと、今度はギターを手にするアンディ・ベル。後方には、後期オアシスのドラマーでもあったクリス・シャーロックと、サポートのキーボーディストのマット・ジョーンズという人(ジェイ・ダーリントンではないんだ)という編成だ。
このライヴがDVD収録されたのは、公演日が3月13日でつまり東日本大震災の直後だったことと、リアムがこのライヴにて「日本にいる全ての人に捧げる」と言って『Kill For A Dream』を歌ったからだ。この曲は、バンドにとってこのときがライヴ初披露だったという。そしてこの翌月、リアムはポール・ウェラーらに呼びかけて、日本のためのベネフィット・コンサートをやってくれたのだ。
そして昨夜、ついにホンモノを体験することができた。思えば、ここまで長かった。当初5月に予定されていた公演は延期になり、ウイークデーの東京をはずして土曜日の名古屋に行く予定を立てていたワタシは、チケットも宿もキャンセル。サマソニも、当初は観るつもりでいたのが、後から決まったピーター・マーフィーと被ったために断念した。
昨夜は振替チケットの人が先に入場で、再発売でチケットを入手したワタシは最後まで入場を待たされた。そして、日本人の前座だ。ここまで待ったのだから、あと少し延びたところでどうってことはない。そしてバンドのロゴを経て日の丸が映し出されたそのとき、歓喜の瞬間が訪れた。
まだアルバム1枚だけのバンドが、リリース半年後にライヴDVDを出すことなど、異例中の異例だろう。がしかし、それはバンドの日本のファンに向けたメッセージだ。今夜来日最終公演が行われているはずだが、今回の来日公演に行けた人には、感動を追体験できる恰好のアイテムになり、残念ながら行けなかった人も、ライヴの感触を垣間見ることができるはずだ。
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