*

オデッサ・ファイル(1974年)

公開日: : 最終更新日:2020/09/07 サスペンス

オデッサ・ファイル(1974年)

1960年代の、西ドイツのハンブルグ。フリーライターのミラーは、自殺した老人の日記を偶然入手する。そこに書かれていたのが、老人がユダヤ人であり、第二次大戦中にナチス収容所での悲惨な生活の日々だった。大戦を生き延びた元ナチスSS隊員は「オデッサ」という秘密組織を作り、身元も職業も変えて隊員を生き延びさせるよう機能していた。

ミラーは何度か身の危険にさらされながらも、「オデッサ」の内部に潜り込むことに成功。やがて隊員のほんとうの身元が記された「オデッサ・ファイル」を入手し、老人が復讐を誓っていたロシュマンに接近する。そしてそのロシュマンは、ミラーの父の仇でもあった。

ナチスがやってきたことは確かに許されざることだが、といってミラーも正義を振りかざすわけでもなく、結局は私的な怨念をはらしたにすぎない。そして「オデッサ」自体が絶滅したわけでもなく、地下組織は生き続けるという幕切れになっている。

原作となる小説が別に存在していて、その内容はもちろんフィクション。ただ、オデッサという組織も、ロシュマンという人も、実在していたと言われている。主人公ミラーを演じるは、ジョン・ボイト。今やの父と言った方が通りがいいのかもしれないが、本作はこの人の代表作のひとつだ。

関連記事

第三の男(1949年)

アメリカ人作家のマーティンズは、友人ハリーに呼ばれて終戦後のウィーンにやってきたが、ハリーは

記事を読む

ナイトクローラー(ネタバレあり)

ナイトクローラー(ネタバレあり)

鉄を盗んで売っているルー。あるとき自動車事故に出くわすが、現場を撮影するカメラマンを見て触発

記事を読む

ラスベガスをぶっつぶせ(2008年)

マサチューセッツ工科大学のベンはハーバード大学への編入試験に合格するが、授業料と生活費の工面

記事を読む

ウインド・リバー(ネタバレあり)

ウインド・リバー(ネタバレあり)

アメリカ北部の冬場は雪に覆われた極寒の地、ワイオミング州のウインド・リバー地区。野生生物局の

記事を読む

9人の翻訳家

9人の翻訳家 囚われたベストセラー(ネタバレあり)

ベストセラー小説『デダリュス』の続編となる第3作の翻訳が、フランスのとある豪邸の地下でおこな

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑