ハドソン川の奇跡(2016年)
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最終更新日:2020/08/11
伝記/実話に基づく アーロン・エッカート, クリント・イーストウッド, トム・ハンクス
2009年1月。ラガーディア空港を離陸した1549便は、鳥の群れに遭遇。鳥が両翼のエンジンに吸い込まれ、エンジンが停止してしまう。高度が低いため、他の空港に着陸するのは不可能と判断した機長のサリーと副操縦士のジェフは、機体をハドソン川に着水させる。
ひとりの死傷者も出さなかったことから、サリーはメディアにヒーローとして祭り上げられる。一方で事故調査委員会は、シミュレートの結果、機体はラガーディア空港に着陸可能だったとし、一転して2人は疑惑の人物になってしまう。検証は、公聴会にて行われることとなった。
実話に基づいた映画になり、タイトル「ハドソン川の奇跡」は、当時メディアによって実際に報道されたフレーズだそうだ。事実としては、事故調査委員会による検証は形式的なものに留まったそうだが、作品の中ではサリーとジェフの行動を揺さぶるドラマに仕上げている。
サリーは、トム・ハンクス。頭髪もヒゲも真っ白でかなり老け込んだ風貌で、同じ年に公開されている「インフェルノ」とはまるでイメージが異なる。これは、本人に似せるためのメイクだろう。ジェフはアーロン・エッカートだが、こちらもブラウンがかった頭髪と口ヒゲによって、他の作品での役柄よりも歳を取ったイメージだ。ただその分どっしりとした安定感があって、発することばは説得力を帯びている。
冒頭は、着水の後のホテルで休息を取るサリーで、その後事故調査委員会とのせめぎ合いになる。飛行中から着水に至る緊迫の場面は中盤に据え、後半が公聴会という展開に。監督クリント・イーストウッドが考えた構成だろうか。
エンドロールが、なんとも言えず素晴らしい。画面の半面でクレジットを流し、もう半面は、飛行場の格納庫にてサリーや彼の夫人、乗客の「本人たち」が集い、同じ時間と空間を共有し危機を脱した盟友のように交流している映像を流しているのだ。「シンドラーのリスト」のラストもそうだったが、こういうのはずるい。もちろん、いい意味でだ。
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