*

シド・ミードさん死去

シド・ミード展

シド・ミードさんが、昨年12月30日に亡くなられた。86歳だった。

シド・ミードさんの肩書きは、「ビジュアル・フューチャリスト」あるいは「コンセプト・アーティスト」となっている。もともとはフォード社で近未来的なクルマのデザインをおこなっていて、独立後はメーカーを越えたクルマのデザインやNASA関連のインテリアなどを手がけていた。

その名を一躍世界的にしたのは、ハリウッド映画の美術デザインを手がけるようになってからだ。「M:i:III」「エリジウム」「2010年」「スター・トレック(1979年版)」「エイリアン2」などのSFやアクション映画に携わった。

そして、なんと言っても「ブレードランナー」だ。未来的にして退廃的、無国籍風の世界観は今や表現方法のスタンダードとなり、多くのクリエイターや作品に継承された。2017年に公開された続編「ブレードランナー2049」にも、携わっていた。脚本や設定、キャストの演技もさることながら、この作品を傑作たらしめている要因のひとつに、この人のアートは絶対に必要だった。

昨年、東京でシド・ミード展が開催され、足を運んだ。ハリウッド作品には馴染みがあったが、フューチャーカーや宇宙ステーションなどは新鮮だった。また、日本のアニメとも関係が深く、「YAMATO2520」「∀」のデザインもされていた。ヤマトとガンダムの双方に関われるクリエイターは、若手ならありえるかもしれないが、大御所クラスではこの人くらいではないだろうか。

亡くなる3ヶ月前の昨年9月に、シド・ミードさんは引退を宣言されていたとのこと。やることをやり切った後、安らかに眠りにつかれたのではないだろうか。

関連記事

『ブレードランナー証言録』を読んだ

映画「ブレードランナー」(以下「2019」)の関係者4人のインタビュー集だが、そのうち2人、

記事を読む

ブレードランナーLIVE@オーチャードホール

ブレードランナーLIVE@オーチャードホール

スクリーンに映画を流しながらオーケストラが生演奏する、シネマコンサート。興味はあったが、つい

記事を読む

デンジャラス・デイズ メイキング・オブ・ブレードランナー(2007年)

公開時こそ興行的に目立った成果は得られなかったが、家庭用ビデオやケーブルテレビなどの普及にリ

記事を読む

ブレードランナー2049

ブレードランナー2049(ネタバレ注意)

1982年に公開された『ブレードランナー』の、実に35年ぶりとなる続編が『ブレードランナー2

記事を読む

メイキング・オブ・ブレードランナー ファイナル・カット

映画『ブレードランナー』の制作時から取材を敢行し、作品の裏側を克明に綴った書籍が1997年に

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑