ヴェルサイユの宮廷庭師(2014年)
17世紀後半のフランス。国王ルイ14世は、ヴェルサイユに新たな宮殿の建設を指示していた。国王直属の庭園建築家ル・ノートルは、庭園を作るための庭師を選出するために候補を募り、面接を実施。そのひとりサビーヌは、秩序と伝統を重んじるル・ノートルとは逆の自由な発想を持ち、面接こそすぐ打ち切られたものの、結果庭師に採用される。
サビーヌが手掛ける庭園「舞踏の間」は、水路の確保に難航したり、落選した庭師の息がかかった作業者たちで工事が妨害されたりと、作業がなかなか進まない状態だった。しかし彼女の姿勢や情熱は、少しずつ周囲を変えていく。ル・ノートルと彼女は師弟関係にあったが、夫婦関係が破綻しつつある彼とサビーヌは、次第に距離を縮めていく。しかしサビーヌは、苦しい過去に悩まされていた。
現在も広大で豪華で美しい建造物として君臨する、ヴェルサイユ宮殿。その庭園の構築と、当時の生活や風習、そしてラヴストーリーが並行して描かれる。ケイト・ウィンスレット演じるサビーヌは架空の女性のようだが、マティアス・スーナールツという人が演じるル・ノートルは実在している。ルイ14世は「ハリー・ポッター」シリーズのスネイプを演じていたアラン・リックマンで、監督もこなしている。
貴族と平民、男性と女性と、目に見える階級と見えない階級が交錯する。サビーヌは、王妃を失い失意の中にあったルイ14世と偶然ことばを交わしたことで気に入られ、王室や貴族の集いに招かれる。公爵夫人たちにも歓迎されたサビーヌは、ルイ14世に一輪のバラを差し出し、女性をバラにたとえて美しくも辛く儚い運命をさらりと訴える。夫人たちの多くは子供を天然痘で亡くしていて、階級の末端にいるはずのサビーヌが彼女たちの代弁者になったのだ。観ていて胸のすくシーンだった。
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