永井GO展に行ってきた
先日、上野の森美術館で開催されている漫画家永井豪の50周年記念展に行ってきた(9月29日で終了)。
展示は、大きく4つのブースで構成されていた。最初が「鬼」で、いきなり代表作にして日本マンガ史に燦然と輝く傑作『デビルマン』の原画が展示されていて、驚いた。個人的に愛蔵版を所有しているので、見慣れた絵ばかりなのだが、それでも生原稿にぞくぞくさせられた。
『デビルマン』はもともと『魔王ダンテ』をもとにしていたが、掲載雑誌が廃刊になりやむなく中断したのをリブートさせた作品だ。そして、源流はダンテの『神曲』なのだが、それも永井の手でマンガ化されていたのははじめて知った。その後、『デビルマンレディー』や『バイオレンス・ジャック』など、さまざまな形態で続編やリブートされていて、これらの作品も展示されていた。
第2はヒーロー・ヒロインで『キューティー・ハニー』などを扱い、第3はコメディで『ハレンチ学園』など。第4のブースは「魔神」と題され、『マジンガーZ』やゲッターロボといった巨大ロボットを扱っていた。マジンガーZはマンガもアニメもヒットして、何もかもうまくいった作品だという永井のコメントがあった。スペインでは、視聴率80パーセント(!)を記録したそうだ。「何もかもうまくいった」と言える漫画家、いったいどのくらいいるだろうか。
「魔神」ブースの次が、永井自身の半生の紹介だ。もともと『激マン!』という、ノンフィクションに近いフィクションのマンガが発表されていて、永井が各作品をどのように描いていたのかという状況は結構オープンにされている。その『激マン!』のほか、この展示のために描きおろされたマンガもあって、手塚治虫のアシスタントになるはずが手違いで会うことができず、代わりに会えた石森章太郎(後に石ノ森に改名)のアシスタントになったこと、激務の中でどうやってデビューにこぎつけたかなどが、生々しく綴られている。
原画は撮影不可だったが、フィギュアなどのおもちゃ類があちこちに点在していて、これらはだいたい撮影可能になっていた。超合金やジャンボマシンダーなど、子供の頃欲しくて仕方がなかったが買ってもらえなかったというくやしい思い出も、今ではなつかしい(笑)。
永井豪の素晴らしいところは、ギャグ、ストーリー、ロボットと、ジャンルが多岐に渡っていることだ。ギャグや巨大ロボットについては、先駆者でもあると言えよう。ストーリーマンガやSFは手塚や石ノ森といった偉大な先人がいたが、それも『デビルマン』のクライマックスからラストにかけての壮絶な描写である意味凌駕したとも言える。アニメでなければ描けないような壮大なスケールを、2次元のマンガでやってのけてしまったのだから。庵野秀明は、『エヴァンゲリオン』は『デビルマン』へのオマージュであるという発言もしている。同業者によるコメントボードも展示されていたが、藤子不二雄Aや秋本治、ちばてつや、さいとうたかをなど、あまりにも豪華すぎる。
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