ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(ネタバレあり)
1969年2月のハリウッド。リック・ダルトンは、かつてはテレビドラマで主演する人気俳優だったが、近年は主人公を引き立てる単発のゲスト出演に甘んじていた。クリフ・リースはリックの親友であり、時に身の回りの世話もする、リック専属のスタントマンだ。
プロデューサーのマーヴィンの紹介で、リックはハリウッド映画への出演が決まり、再起を賭ける。一方、リックの邸宅の隣に映画監督ロマン・ポランスキーと女優シャロン・テート夫妻が引っ越してくる。
リックは撮影中にセリフに詰まり、休憩中にトレーラーハウスに戻ると自虐モードでモノに当たりまくる。リックの作品への出番がないクリフは、街中をクルマで運転中にヒッピーの女性をヒッチハイクで乗せて彼女が暮らすコミュニティに行く。撮影で留守がちなポランスキーをよそに、シャロンは映画館に行き自分が出演している映画を観る。3者それぞれの独立したストーリーで進む中、半年後に3者は交錯する。
実在の人物と架空の人物が登場し、虚構と実際のエピソードとが入り混じる。リックとクリフは架空の人物だが、バート・レイノルズとこの人のスタントマンがモデルとのこと。ポランスキーやシャロンは、実在の人。ブルース・リーやスティーブ・マックイーン(を演じる人)も登場する。
リックは、「大脱走」でマックイーンが演じた役の候補のひとりだったことになっていて、実際の映像に顔がはめ込まれた映像も流れる。クリフが向かったコミュニティは、チャールズ・マンソンによる集団で、これがクライマックスの事件にもつながっていく。
キャストはかなり豪華だ。リックをレオナルド・ディカプリオ、クリフをブラッド・ピット。2人は初共演だそうだ。調べたら、実年齢はブラッド・ピットの方が11歳年上だが、劇中ではリックが雇い主で、クリフはリックに忠実。クリフは腕っぷしが滅法強く、確固たる信念を持っている。それでいて自分の立場もわきまえていて、リックを励ますことはあっても歯向かうことはない。
リックにチャンスを与えるプロデューサーのマーヴィンは、アル・パチーノ。老け顔メイクが凝っていて、ぱっと見では気づきにくい。クリフを煙たがっているプロデューサーは、カート・ラッセル(気づかなかった)。マンソン・ファミリーのひとりスクィーキーに、ダコタ・ファニング。ダコタが出ていることは事前に知っていて、探しながら観ていたので、この子だろうとわかった。
二世女優もいる。ヒッチハイクでクリフをコミュニティに連れてくる少女は、アンディ・マクダウェルの娘。母によく似ている。シャロンの邸宅に出入りする彼女の友人は、ブルース・ウィリスとデミ・ムーアとの間の娘だった。
そして、シャロンはマーゴット・ロビー。個人的には「スーサイド・スクワッド」のハーレイ・クイン、「メアリーとエリザベス」のエリザベス一世で観ている。ぶっ飛んだ女性の役を立て続けに引き受けているが、ここでのシャロンはそこまで極端でもない。個人的にクライマックスは肩透かしで、もしあそこが史実の通りになっていたならば、彼女の怪演が見られたはずだと思っている。
監督は、クエンティン・タランティーノ。この人の監督作を観るのは、実ははじめて。観たのは「トゥルー・ロマンス」くらいと認識していたら、そこでは監督ではなく脚本だった。複数のプロットを同時進行させ、交錯しそうなしなさそうな、でも最終的には交錯させるというのは、この人の好きなアプローチなのかな。
ひとり、ものすごく気になる子がいる。リックが出演する作品で共演している、8歳の女の子だ。撮影の合間にリックと会話する中でプロ意識の高さを放っていて、リックが狼狽してしまう。彼女にも、モデルになっている女優がいるんじゃないかと思っている。
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