エマーソン、レイク&パーマー(EL&P)『The Return Of The Manticore』
ディスク1前半が、いきなり本ボックスのハイライトだ。キース・エマーソンはナイス、グレッグ・レイクはキング・クリムゾン、カール・パーマーはクレイジー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウン/アトミック・ルースターを経てこのトリオ結成に至るが、初期の頃はお互いが在籍していたバンドの曲をライブのレパートリーにしていたそうだ。それらから各1曲ずつ選び、レコーディングしている。更には、代表曲『展覧会の絵/Pictures At An Exhibition』のスタジオバージョンも。オリジナルはライブバージョンだった。
ディスク1の後半以降は、キャリアを総括するグレイテストヒッツとなる。個人的に、オリジナルは『展覧会の絵』『恐怖の頭脳改革』の2枚しか持っておらず、ELPのキャリアをトータルとして聴くのは、このボックスでということになる。改めて聴いてみて、とても新鮮に感じた。
ELPは、3人のプレーヤーのぶつかり合いやコンビネーションというイメージよりも、キース・エマーソンがあたま一つ抜け出ている印象があった。がしかし、それも曲によりけりだ。確かに、キースがシンセサイザーやピアノなどを駆使して好き放題やっている曲は少なくない。がしかし、ヘッドフォンで聴くとカール・パーマーのドラムやグレッグ・レイクのベースやギターも、決して見劣りはしていない。
音楽性も、思った以上に多様だ。キーボード主体のプログレ、あるいはクラシックを下敷きにしたロックを軸にしつつも、ジャズに寄ったパフォーマンスやフォーク色の強い曲など、ロックから一定の距離を置いたかのような世界観もあって、なかなか興味深い。
ブックレットには、バンドのヒストリーが簡潔に記されている。これによると、ELP結成時にキースは26歳、グレッグは22歳、カールは若干20歳だったとされる。70年代前半は破竹の勢い、しかし後半になると疲弊を隠せなくなり、解散。80年代半ばにはコージー・パウエルを迎えて一時的に活動したが、単発に留まる。そして1991年に突如再結成を果たし、翌年新譜『Black Moon』をリリース。本ボックスは、1993年にリリースされている。
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