イギー・ポップとジョシュ・ホーミのドキュメンタリー「アメリカン・ヴァルハラ」を観た
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Iggy Pop/The Stooges イギー・ポップ, ジョシュ・ホーミ, デヴィッド・ボウイ
イギー・ポップは2016年にアルバム『Post Pop Depression』をリリースしているが、そのレコーディングとツアーを追ったドキュメンタリー「アメリカン・ヴァルハラ」を観た。クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ(QOTSA)のジョシュ・ホーミとの、実質共同製作に近い作品だ。
先に連絡したのは、イギーの方だった。ジョシュにメールを送り、受け取ったジョシュは慎重にことばを選びながら返信したそう。ジョシュはQOTSAのディーン・フェルティタとアークティック・モンキーズのドラマーに声をかけ、イギーとのレコーディングのためだけのバンドを編成。ジョシュが書いた歌詞がいつのまにかイギーによって書き換えられていたことなどを、2人は笑いながら話していた。
ジョシュはレコーディングだけで終わってしまうのは惜しいと考え、イギーにツアーを持ちかけた。サポートをひとり加えてリハーサルを行おうというその初日に、デヴィッド・ボウイが亡くなったという報が流れた。ボウイとの深いつながりを知っていたジョシュたちは、イギーがリハをドタキャンしても致し方ないと思ったが、イギーは来た。ジョシュたちはイギーを全力でバックアップしようと声をかけ合い、バンドの結束感が一層増した。このくだりは、観ていてぐっと来るものがあった。
ツアーは、ジョシュたちはお揃いのタキシード姿で、イギーを支えるハウスバンドのようだった。イギーは出だしこそジャケットを着てはいたが、すぐさま上半身裸のいつものモードに。ある会場では、ステージとフロアの間隔が広くダイヴしにくいことを気にしていて、ジョシュは控えればいいと声をかけた。イギーの返答は、「手を抜いていると思われたくない」だった。当時68〜69歳だが、ステージに臨むこの人の姿勢はライヴパフォーマーの鑑だと思った。
ツアー最終地は、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホール。伝統ある格式高い会場だが、もちろんイギーはいつも通りのパフォーマンスをした。『Lust For Life』で幕を開け、体をくねらせ、フロアに突入してもみくちゃにされ、女性ファンにはキスされまくり。そんなイギーは、誰よりもライヴを楽しんでいるように見えた。
メンバーが次々に亡くなってしまい、ストゥージズが活動不能になったイギーは、自身を刺激してくれる新たな触媒を求めていたと思う。QOTSAのほかにも複数のバンドをこなし、プロデュースもできるジョシュは、まさにうってつけの人材だった。この映像の共同監督も務めているようだ。オープニングとエンディングはジョシュによる語りで、一瞬の輝きの素晴らしさと、夢が終わってしまった寂しさの両方を噛み締めているように見えた。
個人的に、イギーや再結成ストゥージズのライヴは何度か観ることができた。3度来日をキャンセルしたQOTSAも、2017年フジロック、2018年サマソニと、2年続けて観ることができた。しかし、しかし、イギー&ジョシュのライヴ、観たかった!!
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