ナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)@ソニックマニア’18
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最終更新日:2018/08/20
Summer Sonic 2018 ナイン・インチ・ネイルズ
来日は2014年2月以来約4年半ぶり。ちょうどいい飢餓感を満たすどころか、たっぷりお釣りが来るライヴだった。さすがトレント。
NINのライヴはおおむねキャリア横断セットリストのだが、今回はそうした中で近年リリースした2枚のEPおよび『Bad Witch』からの曲を組み込んでくるという構成。なのだが、2曲目での『Wish』には驚いた。出たしはゆったりめに入るという考えは、この人にはないようだ。
意外だったのは、バックドロップに映像を使っていないことだった。その代わりか、カメラスタッフが常にステージ上にいて、トレントをはじめメンバーを映し、それが両サイドのスクリーンにモノクロで映し出される。正面のショットだけでなく、真横や真後ろからのアングルもあって、これらはなかなか見られないと思う。メンバーをはさみこむように両脇にライトのセットがあり、これらは前半に稼動。後半は、後方と上からのライティングがステージを彩った。NINのライヴは、過去何度かステージ演出に凝ったことがあったが、それを思うと今回はシンプルな方だ。
フリージャズに寄った、そしてデヴィッド・ボウイ『Blackstar』のDNAを受け継いだかのような『Ahead of Ourselves』『God Break Down the Door』は、中盤に演奏。スピード感に溢れたドラム、フリーキーなサックス(これはプログラミングで出していたか)、そして従来のヘヴィネスがミックスされた世界観は、NINの新展開を指し示すものだ。かと思えば、ボウイの曲でPV共演もした『I'm Afraid of Americans』もあって、バラエティに富んでいる。
それにしても、トレントはすこぶる機嫌がよかった様子で、MCも頻繁にあり、何度も手拍子でオーディエンスを煽り、果ては『Piggy』のときだったか、ステージを降りてモッシュピットに突入。若い頃ならまだしも、今のトレントがここまでするとは、どういう風の吹き回しだろう。
終盤、『Gave Up』を経てメンバー紹介をし、『The Hand That Feeds』『Head Like a Hole』の2連発。後者でライヴを締めるのは珍しくなく、場内も終わったような雰囲気が漂って、ぞろぞろと捌けていく人が。数分は経っただろうか。すると突然、ステージからトレントの歌とロビン・フィンクのアコギが。『Hurt』だ!えっ!?まさか!?いや、歌っている。トレントは歌っているのだ。
それまで轟音で攻め立てていたのとは対照的に、丁寧に切々と歌うトレント。何度か体験している瞬間だが、何度味わってもその度に曲の奥深さと、トレントのひたむきさをひしひしと感じる瞬間だ。こうして、持ち時間より5分押しでライヴは終わった。
セットリスト
Branches/Bones
Wish
Less Than
March of the Pigs
Piggy
The Lovers
Shit Mirror
Ahead of Ourselves
God Break Down the Door
Closer
Copy of A
Only
I'm Afraid of Americans
Even Deeper
Gave Up
The Hand That Feeds
Head Like a Hole
Hurt
近年の単独来日公演はだいたいスタジオコーストだが、やはりNINにはアリーナクラスのキャパシティが合っている。いずれは、武道館でライヴを観てみたいと思っている。
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