メイズ・ランナー(2014年)
近未来。巨大な迷路に囲まれたエリアには、月に1人ずつ生活物資と共に少年がゴンドラで運ばれてくる。彼らには、自分の名前以外の記憶がない。巨大迷路は朝になると扉が開き、夜になると閉じる。少年たちは、コミュニティを形成し生活。トーマスが運ばれてきたのは、コミュニティができて3年が経過した頃だった。
トーマスは仲間と共に迷路に入り、グリーバーと呼ばれる巨大モンスターの襲撃をかわしつつ、迷路の構造を解明していく。そんな中、「最後のひとり」と書かれた紙を握った女性テレサが送り込まれてきた。そして彼女は、トーマスを知っていた。
ナレーションも字幕解説もなく、唐突にトーマスが送り込まれてくる場面からはじまる。その後のキャラクターたちの言動や行動によって、少しずつ設定がわかっていくという展開だ。少年たちが迷路に放り込まれているこの状況そのものが仕組まれ、仕立て上げられた感は最初から漂っていて、このからくりは終盤であきらかになる。
何人かの仲間がグリーバーにやられて死んでしまったり、コミュニティ内でも対立があったりする。リーダーの交代もあり、トーマスをやっかい者扱いする者がいたり、と、如何にも起こりえることはちゃんと描いている。自分たちが何かをさせられようとしていることを自覚しつつ、生き抜こうとするトーマスの姿には共感できる。
ディストピア的世界観と俯瞰的な視線は『ダイバージェント』『ハンガー・ゲーム』『アイランド』にも通じるものがあって、個人的にこの雰囲気は結構好きだ。更には、少年たちを襲うグリーバーは『エイリアン』のクリーチャーのようでもあって、サスペンスホラーの要素も加わっている。ラストで判明するからくりは新たな展開の序章でもあって、それは『メイズ・ランナー2』へとつながっていく。
自在に稼動して少年たちを追い詰める巨大迷路の、CG技術のクオリティの高さは素晴らしい。ハメ込み感が全くなく、まるでほんとうに巨大な壁がそびえ立っているようだ。少年たちを襲うグリーバーの気味悪さも、同様にクオリティが高い。
俳優陣はほとんどわからなかったが、数年後にブレイクする人が、この中に潜んでいるかもしれない。主なキャストは、以下は役名で主人公トーマス、トーマスと仲がよかったチャック、トーマスを目の仇にするギャリー、コミュニティのリーダーのアルビー、アルビーの死によりリーダー格になったニュート、ランナーとして迷路に入り調査を続けているミンホ、料理担当のフライパン、そして唯一の女性テレサだ。
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