*

ルーパー(2012年)

ルーパー(2013年)

2044年が舞台。30年後の2074年において、犯罪組織が証拠を残さず敵を処理する際、敵をタイムマシンで30年前に転送。2044年で待ち受けていて処理する処刑人が、「ルーパー」だ。ジョーはある対象者を処刑しそこねて逃げられてしまうが、その男はなんと30年後の自分だった。未来のジョーは組織に妻を殺された復讐のためにタイムマシンを作ったレインメーカーを狙い、現在のジョーはそれを防ごうとする。

現在の自分が未来の自分と対峙するという、これまでのタイムマシンがらみのSFものと一線を画したストーリー。しかも2人はまるで別人格で、共闘することなくそれぞれの信念に基づいて行動し、対立し合っている。これも新鮮だ。

現在のジョーをジョセフ・ゴードン・レヴィット、30年後のジョーを。将来レインメーカーになる息子の母に『アジャストメント』『プラダを着た悪魔』のというのが、主なキャスト。ジョーが年を重ねていく場面があるのだが、特殊メイクでジョセフが少しずつブルース・ウィリスに近づいていくさまがなんともユニークだ。

ジョセフは既に30代で若手とは言いにくい世代だが、『インセプション』『ダークナイト・ライジング』で頭角をあらわしているハリウッド期待のホープのひとりと思う。ブルース・ウィリスはここでは言わば悪役だが、『マーシャル・ロー』然り、ヒーロー以外も演じられるのが、スタローンやシュワルツネッガーにはない、この人の懐の深さだと思っている。

回収できていない謎はいくつもあって、タイムマシンを作り組織に君臨する男がなぜ「レインメーカー」と呼ばれているのか、処刑の場になぜ2044年を選び、組織を送り込んだのか。などなど。しかし、ラストがああなってしまったので、続編が作られる可能性は極めて低い。

近未来SFものにしては派手なアクションシーンも少なく、視覚に訴えるCG効果もほとんどない。なので、その辺りを期待していた人にとってはがっかりかも。しかしその分ストーリーの奥が深く、個人的には当たりだ。

監督はライアン・ジョンソンという人だが、この人が監督した『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が、今夜24時を皮切りにいよいよ劇場公開される。

関連記事

ナイブズ・アウト

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(ネタバレ極力なし)

ニューヨーク。莫大な財産を保持していた、推理小説作家のハーラン。85歳の誕生パーティーの翌朝

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑