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フィリップ・K・ディック『ゴールデン・マン』

フィリップ・K・ディック『ゴールデン・マン』

SF作家の短篇集で、6本の物語から成っている。注目は、表題作の『ゴールデン・マン』と『小さな黒い箱』の2篇だ。

『ゴールデン・マン』は、映画『ネクスト』の原作。ワタシは映画の方を先に観ていたのだが、原作を読んでびっくり。主人公に予知能力があるということ以外、ほとんど関連がないのだ。原作は近未来で、予知能力を持つ主人公もタントという設定なのだが、映画は現代で、演じる主人公はさえないマジシャンになっている。恐らく映画の方は、原作をアイディアのひとつとしただけだったのだろう。

『小さな黒い箱』は、マーサー教という宗教にかかる話で、根拠もなく怪しそうというだけで政府に敵視されるというお話。このマーサー教、映画『ブレードランナー』の原作である『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』でもピックアップされていて、終盤では主人公デッカードがマーサー教と一体になるという描写がある。そのくだりは読んでよくわからなかったのだが、『小さな黒い箱』を読んでもやはりよくわからないままだった(汗)。

他の短篇は、妖精が出てくるまさかのファンタジーなどがある。読んでいってさあこれからというときに、突然終わってしまうアップダウンの感じは、短篇ならではだろうか。

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