ベック(Beck)@日本武道館 2017年10月23日
新譜『Colors』リリースに伴い、ロンドンやロサンゼルスなどごくごく限定的にツアーを行ってるベック。そのひとつに東京が選ばれたのは誇らしいが、急に決まった来日公演のせいか、場内はあちこちに空席が見られた。しかし、ライヴは出色の出来だった。
オープニングアクトのコーネリアス終了から約30分のセットチェンジを経て、客電が落ちる。バンドメンバーそしてベックが登場し、去年のフジロックと同様『Devils Haircut』の野太いリフでスタート。『Nausea』『Black Tambourine』といったファンキーな曲を続け、まさしくフジロックの追体験をしている気にさせられる。
ベックは黒を基調とした衣装で、黒いハットをかぶっている。見るたび思うが、まあ細身だ。軽い身のこなしでステップを踏み、ステージ上を右に左にと動き回る。ギターも、ほぼ1曲毎に交換していた。個人的にベックを武道館で観るのは2000年の『Midnight Vultures』ツアーのとき以来なのだが、ベック本人にとってはいつ以来になるのだろう。
バンドは、後方向かって右奥にドラム、中央にキーボードのロジャー・マニング、左に男1女2でギターやキーボードやパーカッションをこなす3人組(ベックはB53'sと紹介していた)、前方向かって右にはベース、左はギターのジェイソン・フォークナーという配置。そして、センターがベックだ。元ジェリーフィッシュのジェイソンとロジャーがバンドメンバーというのは、かなりの贅沢。ジェイソンは嬉々としてギターを弾き、ロジャーは、キーボードのほか、もしかするとサンプリングも担っていたかもしれない。
セットリストはキャリア横断的といいつつ、21世紀以降にリリースした作品からが中心だ。中盤にはアコースティックのコーナーもあり、ベックのもうひとつの魅力が披露される。そして、『Girl』を経てついに新譜『Colors』から固め撃ちが。タイトル曲から『Dreams』『Up All Night』と続け、実験的でありながらポップでダンサブルという、奇跡のような音楽が再現される。個人的には『The Information』終盤の実験的なインストが好きなのだが、『Colors』の輝きはそれに勝るとも劣らない。
本編は『Loser』から『E-Pro』と鉄壁の布陣で締め、アンコールはもちろん『Where It's At』。中盤にメンバーのソロを組み込み、ジェイソンはチープ・トリックを演ったらしい(チープ・トリック通ってないんだよなあ)。B53'sはトーキング・ヘッズの『Once In A Lifetime』を。フー・ファイターズが『Under Pressure』を演奏するのと、共通する試みかな。
セットリスト
Devils Haircut
Nausea
Black Tambourine
Think I'm in Love
The New Pollution
Qué Onda Güero
Wow
Mixed Bizness
Soul of a Man
Go It Alone
Lost Cause
Blue Moon
Girl
Colors
Dreams
Up All Night
Loser
E-Pro
アンコール
Where It's At
欲を言えば新譜『Colors』からもっと演奏してほしかったが、まあいい。なにせ、ベックは「See you next year」と言っていたのだから。フェスか、もしくは単独ツアーで近いうちにまた日本に来てくれるに違いない。
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