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ダンケルク(ネタバレあり)

ダンケルク

第二次大戦中、連合軍はドイツ軍によってフランスのダンケルク海岸に追い詰められ、イギリスに撤退する作戦を敢行。若い英国兵士トミーは、仲間の兵士を埋葬していたギブソンと行動を共にし、救助船を待つ。イギリスでは民間の船にダンケルクへの救助指令が下り、ドーソンは息子とその友人を伴って船を出す。英国空軍のファリアは、ドイツ空軍を押さえるため戦闘機スピットファイヤに乗る。

トミーはじめ数10万人の兵士たちが撤退する「陸」、民間人ドーソンが兵士たちを救出に向かう「海」、ファリアたちがスピットファイヤでドイツ空軍を迎え撃つ「空」の、3つの視点からストーリーは展開。登場人物たちのセリフは少なく、そしてドイツ軍は誰ひとりとして姿を見せない。トミーやギブソンたちが乗った船が銃撃されるシーンがあって、どんな連中かもわからない敵にただただ狙われる恐怖感があった。

監督はで、この人が史実を扱うのははじめてだそうだ。『ダークナイト』で監督としての地位を不動にしたが、そこに安住することなく意欲作を届けてくれ、今回も見応えある作品に仕上げている。フィルムで撮影されたとのことだが、日本にIMAXフィルムに対応した劇場はなく、最も近いのは大阪のIMAXシアターだそうだ。ワタシは川崎のIMAXデジタルシアターで観たが、ノーランの表現に近づけたのだろうか。

主要キャラクターは、ハリウッド的にはほぼ無名の若者ばかり。トミーらと行動を共にする若い兵士をワン・ダイレクションのハリー・スタイルズが演じてはいるが、特にクローズアップされてはいない。その代わり、脇を固める俳優陣は豪華だ。ドーソンはマーク・ライランス、撤退を指揮する中佐は。ファリアは、ドーソンに救出される兵士にと、ノーラン作品お馴染みの顔もいる。地味ながらとてつもなく怖いBGMは、ハンス・ジマーだった。

きっと傑作なのだろうが、なんとも重苦しいトーンに包まれていて、安易に語るのがはばかられる作品だ。そんな中、ほぼ唯一観ていて心踊ったのは、スピットファイアとメッサーシュミットによる空中戦だ。松本零士の『戦場まんがシリーズ』で読んだ攻防を、実写で観られる日が来るとは思わなかった。

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