Cocco『Live Tour 2016 “Adan Ballet” -2016.10.11- (DVD)』
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最終更新日:2022/12/18
DVD・映画
coccoが昨年秋に行ったツアーより、追加公演だった昭和女子大学人見記念講堂でのライヴがDVD化されているのを入手した。これまで彼女のツアーは武道館かライヴハウスという両極端なキャパシティで行われることがほとんどで、ホールツアーというのは新鮮だ。
実際のライヴはまずバンドメンバーが先にスタンバイし、少し間をおいてからCoccoが登場する。のだが、この映像ではそうした間はなく、唐突に『愛しい人』でスタート。薄暗いステージの中を、白いドレスをまとったCoccoによる爆発力のある声量が、早速ホールを支配する。
映像は客席をほとんど映さず、ステージに絞っている。これは正しい(サマソニのマリンステージのスイッチャーは見習ってほしい)。当然ながらCoccoを中心に捉えつつ、バンドメンバーも適時フォロー。Coccoの真後ろでドラムを叩く椎野恭一が彼女と同じフレームに入るショットが何度かあって、この人がかつての根岸や長田のような保護者的な存在を担っているようにも見えた。
セットリストは、当然ながら新譜『アダンバレエ』を軸とする。近年の彼女は沖縄の要素を歌詞やメロディーに取り込んでいるが、プラスして、自身の元々の夢だったバレリーナの踊りも組み込んでいる。中盤の『藍色血潮(エーイルチー) (short ver.)』ではバンドメンバーが捌けてCoccoが踊る映像が流れる(この映像単発も特典として収録されている)。見ていて吸い込まれてしまいそうな、不思議な魔力を放っている。
そしてマストソング『強く儚い者たち』となり、Coccoは衣装替えして登場。ここまで暗めだった照明も明るくなり、熱唱する彼女を照らす。彼女はこの時期茶髪にしていて、個人的には結構衝撃的だったのだが、時間が経ってDVDで観ると、こういう彼女もありかなと思った。
このときのツアー、セットリストが日替わりになるところがいくつかあって、この日はここで『風化風葬』となっていた。ワタシはNHKホールの公演に行っていたのだが、そのときは『遺書。』だった。『遺書。』は個人的にCoccoのベストナンバーだったので満たされて会場を後にしたが、『風化風葬』も劣らず好きな曲だったので、ちょっとだけ残念な気持ちに。いや、DVDでこうして観れているのだからよしとしなくては。
ラストは『有終の美』『ひばり』と、『アダンバレエ』のラストをまんま再構築。いや、再構築というより、今このときこの瞬間のうたとして彼女は歌い、バンドは鳴らしているのだと思う。そしてメンバー全員が勢揃いして礼をするのだが、これ、ほかのアーティストであれば当たり前の光景だが、彼女がこれをできる心境に至るには紆余曲折があった。活動休止前の彼女は、歌い終えるとバンドも観客も振り切るようにして、ステージを走り去っていたからだ。
NHKホールで観たときの感触がよみがえってきたことを噛み締め、彼女がコンスタントにライヴ映像をリリースしてくれることを嬉しく思っている。
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