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セックス・ピストルズ『No Future –A Sex Pistols Film-』(1999年)

セックス・ピストルズ『No Future –A Sex Pistols Film-』(1999年)

のドキュメンタリー映像『No Future –A Sex Pistols Film-』を観た。

話はピストルズのメンバーの生い立ちから始まり、ギターのスティーヴ・ジョーンズ、ドラムのポール・クックについては、自分がどんな少年だったかを自ら語り、また音楽の趣味も明かしていて、ロキシー・ジックやアリス・クーパーなどの映像が流れる。やがて、グレン・マトロックとジョン・ンも登場。ライドンをロットン(=腐った)と名付けたのはスティーヴだそうで、ジョンという名前もありふれていたことから、以降ジョニー・ロットンと名乗るようになる。

レコード会社とは、契約~破棄~別のレコード会社へを繰り返す。ライヴハウスを出入り禁止になる。テレビ番組に出ては、司会者の挑発に乗り放送禁止用語を連呼。リリースされるシングルは、放送禁止になっているにもかかわらずチャートの上位に上り詰める。・・・と、伝えられているピストルズの過激でスキャンダラスな生きざまが記録されている。グレンはジョニーと不仲になり、他のメンバーからも相手にされなくなって、やがてバンドを脱退。その後任としてを招き入れ、またシドにはナンシー・スパンゲンという女がつきまとう。

メンバーは次第に疲弊し、アメリカツアー中にジョンが脱退を表明して、ピストルズはあっけなく解散。その後はシドのソロ活動とナンシー殺害容疑、そしてシドの死を以て映像は幕引きとなる。ジョニーが本名に戻って立ち上げたパブリック・イメージ・リミテッドの活動については、何も触れられていない。

ピストルズのドキュメンタリーといえば、『The Great Rock'n'Roll Swindle』が既にあって、実際本作と映像的には結構ダブっている。ではあるが、前者が1979年作品であるのに対し、本作はそれから20年を経ての映像ということで、かなり丁寧にそして客観的に作られている印象がある。何より、本作ではメンバーが自らコメントを寄せていて、ジョンが『The Great Rock'n'Roll Swindle』をバッサリ切り捨てているのも興味深い。

そして最大の違いは、グレン・マトロックの扱いにあると思う。『Swindle』ではほとんどグレンについては触れられていないのが、本作では他の3人とほぼ対等な扱いで出演している。これは、1996年にピストルズがグレンを加えて再結成ツアーをしたことも関係していると思う。『Swindle』と『No Future』は実は監督が同じで、ジュリアン・テンプルという人だ。

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