セックス・ピストルズ(Sex Pistols)『勝手に見やがれ~ライヴ・イン・ジャパン(DVD)』
公開日:
:
最終更新日:2025/02/05
Sex Pistols ジョン・ライドン, セックス・ピストルズ
1978年に解散したセックス・ピストルズは、1996年に突如再結成しツアーを行うことを表明。産業化したロックに冷や水を浴びせたパンクであり、その象徴的な存在だったのがピストルズ。再結成が最も相応しくないバンドだったはずが、「目的は金だ!」と単純明快に言い切ってツアーを敢行。そして秋の日本公演から、11月16日に武道館で行われた公演にWOWOWのカメラが入り、生中継で放送された。
中継が始まって3分後くらいに客電が落ちたが、BGMはなぜかベイ・シティ・ローラーズの『Saturday Night』で、登場したのはハイロウズの面々だった。彼らは自らをベイ・シティ・シティ・ローラーズと名乗り、チェックの衣装をまとっていて、5~6曲を演奏。来日公演のピストルズには、ガールズバンドが前座としてついていたのだが、この日に限ってハイロウズが務めたようだ。
生中継なので、セットチェンジで30分くらいのインターバルができ、叫ぶ詩人の会が登場。ドリアン助川のナビゲートにより、ピストルズの代表的なPVがいくつか紹介され、またドリアンはこの日のピストルズに賭ける想いを語っていた(終演後にも登場し、簡潔な感想を述べ、視聴者プレゼントを告知していた)。
そして、いよいよ真打ち登場。ステージのバックドロップには、新聞記事をランダムに連ねた壁紙が掲げられ、メンバー4人がそれぞれ持ち場について、ライヴは『Bodies』でスタート。スティーヴ・ジョーンズはマッチョな体型でパワフルにギターを弾き、グレン・マトロックはクールなたたずまいで淡々とベースを弾いていた。ドラムのポール・クックは的確にリズムを刻み、演奏はかなり安定している印象だ。
そしてフロントマンのジョニー・ロットン(ジョン・ライドン)だ。赤い衣装に赤い短パン、赤い帽子を被っていて、見るからに異様かつ滑稽である。やがて帽子を取り、上着も脱いで黄色いシャツ姿となった。頭髪は逆モヒカンで、赤と緑で彩られていた。アクションもロボットのようでかなり奇妙だ。
ピストルズの持ち歌はもともと少なく、そして再結成で新曲を作ったわけでもないので、ライヴは代表的な曲が次々に披露される。客が熱狂したのは、やはり『God Save The Queen』『Pretty Vacant』といったところ。『EMI』で本編終了となるが、すかさずアンコールとなって、ここでついに『Anarchy In The U.K.』が飛び出し、『Problems』へとつながれた。ジョニーは、随所に「Japan」を交えながら歌っていた(『Problems』の後にあと1曲演奏され、それがオーラスだったのだが、この曲(曲名)がどうしてもわからない。シングルのカップリング曲なのか、それとも誰かのカヴァー曲なのか。ネット検索もしたのだが、どうしてもヒットしない)。
このときの来日公演は、ワタシも実際に観に行っている。武道館1回と(この放送の公演より何日か前の)クラブチッタで、特にチッタでは狭いフロアでもみくちゃになりながらライヴを楽しみ、終わったときは酸欠状態だった。本物が観れたという喜びと、70年代の頃とはかなり見た目が変わってしまっていることの違和感が入り混じった、だけど今にしてみればいい思い出になっている。
関連記事
-
-
セックス・ピストルズ(Sex Pistols)『伝説のラスト・ライヴ(DVD)』
原題は『Winterland Concert』となっていて、78年1月14日のアメリカはサン
-
-
セックス・ピストルズ『No Future –A Sex Pistols Film-』(1999年)
セックス・ピストルズのドキュメンタリー映像『No Future –A Sex Pistols
-
-
セックス・ピストルズ(Sex Pistols)『The Great Rock’n’Roll Swindle』(1979年)
セックス・ピストルズのドキュメンタリー映画『ザ・グレイト・ロックンロール・スウィンドル』を観